hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

全集だってお友達 田辺聖子『田辺聖子全集5』

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子どものころ、習い事の先生から不要になった「世界児童文学全集」なるものを大量に譲っていただいたことがあります。それは国別に有名な作品がおさめられている文字通りタフな全集でしたが、それはそれは愛読したものでした。

興味のない国の全集はなまいきにもほぼ手に取らなかったけれど、アメリカやフランスのものは、何度読んだことか。表紙に有名な絵もついていたので、その絵のことは今でも覚えているほど。

 

それから数十年。3年ほど前、恋愛についてのエッセイなどによく引用されている、田辺聖子さんの作品を読んでみたいと思いました。でも、作品があまりに多くて、どれから読んだらよいのか見当がつきません。それならと全集に手を出してみたらば、これがまあ、面白いのなんの!

 

分厚いので持ち運びには適さないことこの上ないのですが、面白さに途中でやめられなくて、通勤電車にも欠かしませんでした。小粋な女性たちの魅力に圧倒されて、結局全集を読み倒してしまいました。

 

全集だったからこそ読むことができた作品たち。手に取るまで映画になっている「ジョゼと虎と魚たち」が田辺さんの作品だとは知りませんでした。

そして昨日、食べ物で「あ、今あれが食べたい!」と思うように、強烈に読みたくなったのが全集5に入っている「シクラメンの窓」という短編。主人公は60代。電車から見える窓に飾ってあるシクラメンがきっかけで出会う2人の物語です。男女の距離が絶妙で、そのあたりを的確に書いている田辺さんに脱帽します。

 

全集と名付けられていると、たいてい重くてそっけなくて手に取りにくい顔(表紙)をしているものですが、実は親友になる作品が隠れているかもしれません。この全集はわたしの大切な友達です。

 

 

今日の片づけ 家にある絵はがきを年賀状に

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今日から年賀状の受付だそうですね!間に合うのか焦って書いていましたが、無事今日投函できそうです。

 

今年の年賀状は、ためにためていたお気に入りのはがきの中から、送る方によって選びました。なるべくものはため込まないようにしているのですが、はがきはついつい増えてしまうもの。薄くて軽く安いので、旅行先ではたいてい購入。

そして絵画展などでも、必ず購入してしまいます。「行った」体験はモノとしては残らないので、自分の記憶にとどめておきたい気持ちもあって。

 

そんなこんなでファイルにぱんぱんになっていたはがきたちでしたが、使う機会を逃さずに、ここぞとばかりに有効活用しました。お年玉付きはがきだからこそ楽しみにされている方もいらっしゃるので、年賀切手の中から番号付きのを選びました。

www.post.japanpost.jp

 

これで一つ年末業務完了!

絵はがきはためておかないで、来年もどんどん活躍させるつもりです。

秋になると思い出す本 よしもとばなな『デッドエンドの思い出』

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もう冬になってしまいましたが…。秋になるとたまらなくロールケーキが食べたくなります。それは、もちろんこの本に出てくる小説のおかげ(せい?)…。

 

5つの短編集が含まれているこの本ですが、冒頭の「幽霊の家」に出てくるのが

 絶品のロールケーキ。主人公の恋人が、老舗ロールケーキ屋さんの息子なのです。

実際に存在するわけではないのに、読むとたまらなくそのお店に行きたくなって、味わいたくなります。文字だけで味わいたくなるとは、作者の文章力ですね。

「幽霊の家」には、老舗の洋食屋さんも出てくるのですが、それもまたとても魅力的でおなかに直接訴えかけられます。

 

他の短編も魅力的ですが、一番心をひかれるのがこの「幽霊の家」。ちょっとぼんやりした、時間をかけた恋愛のスピードも、秋に合っているような気がします。

少し季節を巻き戻すようですが、秋におすすめの一冊です。

 

今日の片づけ 夏物サンダルは捨てません

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1か月たって、ようやく靴が修理から戻ってきました。といってもすぐ履くわけではない、夏のサンダルです。修理に出してからしまいました。もう使って3年目になります。

 

今回の修理は、底の部分が割れてしまい交換したのと、足に当たる中敷きを新しく。底の割れがなかったらそんなにかからなかったと思いますが、少し大掛かりな修理になったので、4000円ほど。本当に安い靴ならもう少しお金を出せば買えてしまう値段ですが、このサンダルは履きやすくて大切にしているもの。まだまだ履く予定なので、修理は必須です。

 

以前は普通にデパートなどで購入していた靴ですが、自分の足型にしっかりあった靴を見立てていただくようになってから、中途半端な靴を買うことができなくなりました。

今では足に合う靴しかほしくないので、見て歩く靴屋さんも3つほどしかありません。その分購入するときはある程度値段もかかるけれど、大切に何年も履けるのがわかっているので、長期的な計画の中で購入するようになりました。初めのコストが安くすんでも、合わない靴で1年しか履かなかったら、その一足の値段は高くなってしまいます。この靴も30000円くらいの買い物でしたが、履く期間や体への負担の軽減を考えると、決して高い買い物ではありませんでした。これからも暑い時期にたくさん履く予定。すぐに履ける状態にして、「来年もよろしく」と安心して片付け。

 

おすすめの靴屋さんと出会った話は、また今度書きますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

とりかかりに 広沢かつみ『玄関から始める片づいた暮らし』

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めずらしくブログの更新が遅くなりました。

元気にしています。気が付けば年末!お掃除の気になる季節です。

 

なんだかあわただしくなるのが嫌で倒しの予定だった掃除も、

いつのまにやら予定より遅れております。

そろそろエイッと気合を入れなくては、と思った時に以前読んだこの本のタイトルを思い出しました。

 

「玄関から始める」とは、本当によく考えられています。

日本の玄関はたいていそんなに大きくはないので、取り掛かりにも最適だし、

なぜか玄関が片付くとほかの場所もきれいにしたくなるという。本当に、そうでした。

えいやで始めた玄関掃除で軌道にのり、今日は2階もきれいにしてしまおうと思いましたもの。

まだまだ日数もあるし、焦らず落ち着いて、まずは玄関から整える。

ついでに空気もしっかりと入れ替えをして、残りの日々を大切に送りたいと思います。

 

手放す気持ちよさ わたなべぽん『やめてみた』

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タイトルに惹かれて、ずっと読みたかった本を読みました。

「やめてみた」。本当にシンプルで、でもとてもとても魅力的なタイトル。

著者がやめてみたことがたくさん載っていますが、身の回りも心もすっきりとするような、爽快感のある作品でした。

 

著者が「やめる」気持ちよさに目覚めたきっかけは、炊飯器が壊れたことだったそう。そこから土鍋でご飯を炊き、そのおいしさに目覚めてから、掃除機を手放し(フロアーモップのみ)、テレビのつけっぱなしをやめ、どんどん心までクリアになっていきます。

 

ものだけでなく人間関係もまた、不快に思うことをやめたり、ある色の洋服を似合わないと思い込むのをやめたり、生きることにまつわることも、やめることが増える中、反比例してどんどん幅が広がっていく様子がとても気持ち良い。ものだけにとどまらず、人や自分との関係性まで変わってしまうなんて。生活の変わるきっかけが、スイッチ一つで炊ける便利な炊飯器を手放したことというのが、なんとも面白い。一見面倒に思えることが、生活すべてを変えるきっかけになるなんて。わたし自身も周りを見回して、「やめてみる」ことができることがないかなあ、と探してしまいました。

 

 

 

はちみつ再発見! 前田京子『ひとさじのはちみつ』

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ときどき、当たり前に周りにあるものの良さを再発見して、輝いているようにみえることがあります。最近の再発見は、はちみつ!

 

今までただ甘いだけの、どちらかという敬遠しなければならないような食べ物だったはちみつ。この本を読み、がらりとイメージが変わりました。人の健康に多大な貢献があったはずなのに、現在はただ甘みを加えるものとして扱われることが多いような気がします。本の内容を読んで「はちみつさん、今まで砂糖と同じような扱いをしてきてごめんなさい」と言いたくなるほど、驚きました。

 

実は、はちみつは薬。

古今東西あらゆる文献に、効能の高さがうたわれていること。

クレオパトラは美容のために、多用していたそう。

はちみつはミネラルの宝庫。

粘膜の保護、修復にとても役立つこと。

実はピロリ菌もやっつけてしまうほど殺菌力も高いそう。

目薬としても優秀(かなりしみるそうですが…)。

 

目からうろことはこういうことかと、本の内容にいちいち反応しながら読み進めました。特に常温で保存できることから、著者は非常用袋にもビタミンCの粉末と共に欠かさない(はちみつに唯一足りない栄養素はビタミンCだそう)というところを読んで、さっそくはちみつを非常袋に加えようと思いました。

 

2つ注意すること!

市販のはちみつは水あめなどが加えられていることがおおいため、きちんとしたはちみつを選ばないと、上記のような効能は得られないそう。そしてこれからもはちみつの恩恵を人間がいただくためには、はちに悪影響のない製品を選びたいもの。

今、世界的にはちの数が激減して、はちみつだけではなく、はちの働きがなくなることによる農作物へのダメージにも注意が高まっています。以下の映画にもなっています。

『みつばちの大地』 公式サイト | SIGLO

 

そしてもう一つ。加熱されていない製品を選ぶこと。はちみつを加熱処理することで、酵素や栄養素が減ってしまうそう。薬として使うのにマヌカハニーが有名ですが、以前お店で加熱されていないはちみつとしておすすめしていただきました。

www.crayonhouse.co.jp

 

 

それから「できたら国産のはちみつで…」と思っていて見つけたのがこちらのお店。

蜂蜜専科 - hatimitusenka ページ!

以前フェスのときにいただいて、良心的な値段と質に驚きました。非加熱です。

 

少しの不調は薬を使わず、自分で整えていくことができたらどんなに安心できることか。はちみつはその助けになってくれるはず。