hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

マンガのような読後感 朝井リョウ『星やどりの声』

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新聞の書評を見て、装丁に惹かれて手に取った本。はじめてこの作者を知りましたが、一度目にしたら忘れない印象的なタイトル『桐島、部活やめるってよ』と同じ作者だったのですね(こちらは未読)。

 

最初に登場する人物が多く、読み始めは世界に入り込むのに少し苦労しましたが、読み進めていくうちに深くのめり込んで、一気に読んでしまいました。

正真正銘の小説なのですが、主人公たちの表情すら読み取れるかのような文章。まるでマンガを読んでいるような、背景すら具体的に思い起こせる作品。ここまで具体的に想像できる文章の小説は、なかなかないような気がします。そして「あと少しでやめておこう」と思う続きマンガを、一気に読破してしまうのと同じように、途中でやめることができませんでした。世界にはまり、一日ぼーっとしていました。

 

あらすじは海辺の町で四人兄弟+母が、亡くなった父の残した喫茶店を残そうと奮闘する話(かなりはしょっての説明ですが)。さわやかな風も感じるような、完成された世界の作品。季節にぴったりで、今出会えたことがよけいうれしい作品でした。

仕事がテーマでも 喜多川泰『手紙屋』×穂高明『むすびや』

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たまたま読んだ本が、就職に関する本でシンクロしていました。せっかくなので2冊同時にご紹介します。

 

喜多川さんの作品は読むたびに背中を押してもらうような、あたたかな力強さを感じます。穂高さんはこのブログでも何度もご紹介していますが、新作は必ず手に取る大好きな作家のお一人です。

 

今回喜多川さんの本を手に取ったのは、ある方のメルマガで名前があがっていたことがきっかけ。急に読み直したくなり、手に取った最初がこの『手紙屋』でした。就職活動に悩む主人公は、行きつけの変わった喫茶店で「手紙屋」という広告を発見。そこから手紙屋との文通を通して、大きく成長していきます。装丁も美しくて、シンプルでまっすぐな言葉がつづられています。とてもすがすがしい。

一方『むすびや』は、就職に失敗して実家のおにぎりやを手伝うようになった少し気の弱い主人公が、自分の失敗をもんもんと抱えながらも、実家のおむすびのすごさに気づいていく物語。丁寧に主人公の気持ちを追ういつもの穂高さんのテイストは変わらず。気の弱い主人公だけれどもつい応援したくなる、温かいまなざしが感じられます。

 

どちらも予期せず同じ就職や仕事というテーマだったので、仕事のことや生き方のこと、たくさんヒントをいただきながら読み進めました。どちらの本でも共通して感じたのは、主人公たちが一人で問題に立ち向かっているようにみえても、実は多くの人に助けられているということ。きっと自分もそうだったろうと思うのですが、そのときは必死で気づけなかったな。

こうして本を通して自分の体験を見ると、もう終わってしまった今だからこそ気づけることがたくさん。たとえテーマが今の自分と離れていても、前を思い返すことでヒントをもらって、今の自分が充実していく気がします。

 

 

今日の片付け ちいさなものを美しいものに

こうして写真にとるとよくわかります。奥のは古かったんですね(笑)。f:id:hon-nomushi:20170425131806j:image

我が家のもえないごみの日は金曜日。

この日に合わせて片づけると、不要なものがすぐにすっきり。ビンなど日常のごみと一緒に、このブックエンドも出しました。手前は無印のもの。これだけはたくさん数があり、家じゅう色々なところで活躍しています。

 

奥のブックエンドも使えないことはないのですが、だいぶ古くなっていたし、見るたびにあまり美しくないなあと思っていたので思い切って変えました。家族のふるいものだから、10年以上選手だったかもしれません。

 

片付けをするとなるとおおきなこと(クローゼットがすっきり!など)をつい目指してしまうもの。でも毎日目にする小さな違和感を解消するだけで、案外快適を実感できるなあと、小さなものを変えて実感しました。

 

ちなみにこのブックエンドは、冷蔵庫から本来の本棚まで、あらゆるところに潜んでいます。すっきりしていて小さいのに、本来の目的をしっかり果たす重さが好きです。

 

 

稼ぐ能力 貯める能力 横山光昭『「お金が貯まらない!」が治る本』

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ある方が何かのついでにぼそっとおっしゃった一言。

「お金を稼ぐ能力と貯める能力は別物だと思う。」

しみじみ腑に落ちた一言でした。そこで貯めることについて研究してみようと思い立ちました。

 

稼ぐ方ではなく貯める方に注目したのは、以前林さんのこの本で、収入の多い少ないにかかわらず、収入内で家計を回すのが大切だと書いてあったのを覚えていたからです。

まじめに家計の勉強 林總『正しい家計管理』+『貯まる生活』 - hon-nomushi’s blog

 

この本はタイトル通り、いかにお金を稼ぐかではなくどう使って生活するのかに注目しています。そしてお金が貯まる人の性質が、著者ならではの視点でチェックされています。

ーお金を貯められる人は体系もスリム

ー時間を守る

ー部屋がきれい

など。一見お金に関係がなさそうな項目ですが、実は深く関係があるそう。読んで納得でした。

 

そして年収が高ければ高いほど、貯金が多いわけではないという衝撃の事実も…。「また稼げばいい」「教育費はいくらでも」など、年収の高い人ほど油断して手元の貯金は乏しかったりする実例が載っていました。やっぱり、稼ぐ能力と貯める能力は違うのだなあと実感。

 

さて実践です。わたしの場合は収入が固定ではないので、収入のうち何割かを必ず先取り貯金と決めました。「今よりもっと!」と稼ぐことに注目するのも大切なのかもしれませんが、現在の自分の家計においては、今あるお金の流れを把握し活かすことの方が必要のようです。少しずつ実践して身に着けていきます。

 

 

 

オーガニックコスメその後 小松和子『ナチュラル コスメ・バイブル』

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化粧品に目覚めたその後困ったのは、何が自分に合っているのか選びきれなかったこと。

肌にこそ知識をもって 『オーガニックコスメ厳選303』日本オーガニックコスメ協会 (監修), アイシスガイアネット (編集) - hon-nomushi’s blog

 

たまたま見つけて愛用していた化粧品のHPで、オーガニック化粧品のみでメイクをされているというプロのメイクアップアーティスト、小松和子さんの名前を見つけました。個人的に相談できるサロンもなさっていて、アドバイスをいただけるとのこと。ケミカルな化粧品は勧められても買いたくないな、と思っていたので、これは安心!と思い、伺って様々なアドバイスをいただきました。

 

プロのメイクさんなのでこんなすっぴんに近い状態のメイクでいいんだろうか、と緊張して伺いましたが、てきぱきなさっていて、リラックスして教えていただくことができました。今の肌の状態を見て、わたしに必要なものを多くのサンプルから選んでくださいました。実際に肌を見ていただき、教えていただける機会はなかなかないもの。いろいろなサンプルを一気に試せる機会も貴重でした。

 

この本の油分と水分に関する項目をちゃんと理解すれば、美肌を作ることができるとおっしゃっていました。感覚だけでなく、ちゃんと根拠も考えて化粧品を選べるようになる、とても勉強になる本です。 

今日の片付け ごみに出すときも考えて

キッチンのなかの小さな変化。トマト缶からトマトピューレ紙パックに変えました。

 

冬にトマトを食べることはほとんどありませんが(体を冷やすので)、ミートソースやミネストローネは冬でもたまに食べたい。そんな時のために常備しているのがトマト缶。缶だと保存も捨てるときも、かさばるのが気になっていました。

 

そこで紙パックのトマトピューレに変更することに。先日初めて使ってみましたが、水分の量さえ気にすればトマト缶と同じように使えそう。何より捨てるときの手間が全然違いました。缶のときは中とふたをあらって乾かし、資源ごみの日まで取っておかなくてはなりません。ピューレは写真のように、使用後はペチャンコにして可燃ごみへ出すことができます。

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いつも使っている宅配でも取り扱いがあったのもうれしいところ。わざわざこれだけ買いにく手間もないし、しばらくこれでやってみようと思います。

 

ものを買うときには捨てることもセットで考えるようになりましたが、やっぱり省スペースになるものは捨てやすいです。我が家は自販機で缶の飲み物を買うことがないので、たまにしか缶のごみがでません。トマト缶もなくなると、缶ごみの日はフリーになりそう。ちなみにペットボトルもほとんど買わないので、ごみ捨てはもちろん、ペットボトル用ごみ箱も必要ありません。

 

ごみを出すというのは結構手間がかかるもの。こうして自分でごみ出しお休みの日を作ると、家事が少しずつ楽になっていきます。

 

 

楽しく過ごすために考える 浅倉ユキ(あな吉)『あな吉さんの「ゆる家事」レッスン』

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手帳術の本を読んで実践して以来、絶大な信頼を置いているあな吉さん。もはやわたしの生活にあな吉手帖は欠かせないものになっています。

 

hon-nomushi.hatenablog.com

 

この本の中にも書かれており気になっていた、あな吉さんの家事の本を読みました。家事は毎日の繰り返し。マンネリになったり、苦しかったり、楽しい部分があったり、 本当に様々な局面があるものだなあと思います。人の日常がどれほど小さなもので成り立っているのか、知れば知るほど奥深くなっていくと思っています。

 

さて、あな吉さんの家事は?というと、めんどくさがりとおっしゃるのですが、とても効率的。そして自分が楽をするために、どうしたらよいかを徹底的に考えていらっしゃいます。朝のうちに朝食、お弁当、おやつ、夕食まで準備。朝以外は家事をせず、家事をするときは家族に「見せ家事」(やっている姿を家族に見せる)を意識。すぐに作れるよう、よく使う調味料はすぐ使えるようになっていたり、小さな工夫がたくさんなされていました。お買い物も宅配のみ。家計簿管理も楽だからと、購入金額を決めていらっしゃるとのこと。

 

そういう細かい工夫も参考になることばかりだったのですが、家族との関わりあいが印象的でした。朝は子ども達がお母さんを起こす(決めた時間に起こさないとお弁当が間に合わない)、出張後は必ず夫に小さなお礼をする(手帳にフセンをはって忘れないように)など。お母さんがごきげんでいることを大切に考えて、1人でためこまず、でも家族にありがとうも忘れない姿勢は、ぜひ真似したいです。

 

あな吉さんは終わりの方で「迎えにいった未来しか手に入らない」とおっしゃっていて、その言葉がとても沁みました。(途中に書かれていた「お弁当は海のように広い」という一言にも深くうなずきました。本当!)

家事を1人で抱えてつらくなってしまった方にはぜひ、おすすめの一冊です。