hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

ごほうび読書 リウ・ツーシン『三体』

以前『火守』を読んでから、 ずっと楽しみにしていた『三体』シリーズ。 色々が片付いてようやくほっとした秋のはじめ。 ついに、読み始めました! 中国の文化革命から始まり、 科学者たちが謎の死を遂げる展開に。 そして宇宙との交信から、地球全体がパニ…

これからの暮らし 稲垣えみ子『家事か地獄か』

いつもうーんとうなる視点をくれる稲垣えみ子さんの本。 すっかり感化されて1週間を過ぎました。 稲垣さんにとって、家事は1時間以内に終わるもの。 洗濯機がないからたらいで一日分を洗い、 そうじはぞうきんとほうきとはたきで。 食事は冷蔵庫がないから、…

違和感の存在を言葉にする 西加奈子『くもをさがす』

しばらく原稿書きが忙しくて、ブログを書けずにいました。 後回しにしている仕事もあります…。 片付けながらゆっくり更新します。 この本、書評などで見かけて読みたいなあと思いつつ、 図書館ではものすごい予約数で、あきらめかけていたところ ローカルな…

人の生きざまと台所 大平一枝『東京の台所』

色々なひとの暮らす、家の中でも台所を取材した本と知り、 楽しみに手に取ってみた1冊。 楽しみな気持ちでワクワクと読み進めてみると、 単なる台所の様相を切り取った本ではなく、 ひとと台所と人生が結びついている、ひとの生そのものを 取材した本だとわ…

NZに行ってきました 『ニュージーランドの大らかで自然に寄りそう暮らし365日』

この夏休み、久しぶりの海外へ行ってきました。 あまりに海外旅行が久しぶりすぎて、異様に緊張しました。 食べ物の持ち込みも厳しいと聞いていたので、 徹底的に持ち物をチェックしての入国でした。 全く未知の国に久しぶりに行くという状況の中、 この本の…

時々片付けたくなる衝動 群ようこ『老いと収納』『欲と収納』

群ようこさんの本は時々無性に読みたくなることがあって、 今回も何冊か図書館で借りてきました。 実は今片づけたい衝動に駆られていて、 家の中に不要なものはないかと色々目を光らせています。 引っ越してきてまだ数カ月なので、元の家にも荷物があり、 分…

わたしも! 稲垣えみ子『老後とピアノ』

本の写真をすっかり取り忘れてしまって…。 写真ナシのさびしいブログになりますが、 ぜひこの本について紹介させてください。 実は、わたしも! 50歳になったらピアノをやってみたいんです。 だから、この本を見た時、同じことを考えて体験された方がいる! …

再び、リンドグレーン『わたしたちの島で』

hon-nomushi.hatenablog.com 2017年に書いたブログからもう数年経っていますが、 夏はやっぱり『わたしたちの島で』を読みます。 冬の長いスウェーデンで 夏の一瞬一瞬を惜しむように過ごす人たちが 本当にいとおしい1冊。 今年、ふと思い立って文庫版を買い…

いつか行きたい旅のストック 髙森玲子『スペイン サンティアゴ巡礼の道』

夏休みですね。 子どもがほっと一息ついているのがわかります。 そして休みになると、旅に出たくなります。 週末ちょこっと時間が見つけられる日をスケジュールを見て探したり。 国内だと2日あれば充分、楽しめます。 だけれど、海外はやっぱり前もって色々…

独特の読書感 津村記久子『水車小屋のネネ』

単身赴任中の家族の家に行ったら、机上にこの本が置いてあって、 つい読み始めたら止まらなくなってしまいました。 日本の作家の長編はあまり自分で手に取ることがないのですが、 なんというか独特の書き方にはまってしまい、 最後までじっくりしっかり読み…

思いがけないところに着地 ギヨーム・ミュッソ『パリのアパルトマン』

一見平和な題名ですが、 実は複線のたくさんある推理小説でした。 そして、かなりどきどきする。 アメリカの脚本家と、イギリス人の警察官がたまたまハプニングで 同じ時期に貸しマンションを借りてしまった。 2人とも以前のマンションの持ち主である、 元ス…

実は見たことのない幽霊 藤野可織『私は幽霊を見ない』

幽霊を見たことがある? という質問に、イエスと言える方はちょっと優越感を持って、 この本を読むのかしら。 わたしは、はっきりノー。 今まで見たことがありません。 だけど、考えて見たら幽霊という存在を知ってから、 怖くて怖くてたまりません。 怖い話…

それぞれの国が大切にしていること キリ―ロバ・ナージャ『6ヵ国転校生ナージャの発見』

教育について考えるとき、日本はこうだけど他の国はどうなのかな? と思うことがたくさんあります。 以前留学していたときも、大学でレポートが多いフランスだったので、 他の人がどうやって勉強をしているのか、興味津々でした。 結局良くわからなかったけ…

一生で買う洋服はどのくらい? どいかや『服を10年買わないって決めてみました』

今、わたしの持っている洋服は全部で37着(下着、パジャマはのぞく)。 もともとあまり多く持っている方ではないけれど、 少な目ではあるのですが全部が活用できているかというと、 そうでもないところが残念なところ。 まだまだ、失敗もあり着ていない洋服…

親との別れを想像する 益田ミリ『永遠のおでかけ』

疲れていて長い本は読めず、かといって何も読まないのは 心が落ち着かない。 そんな時わたしは、よく益田ミリさんの漫画だったり、 エッセイを手に取ることが多いように思います。 この益田さんのエッセイはお父さんとの別れを描いたもの。 闘病期から本当の…

一歩一歩のその先にあるもの ジェームズ・ボーエン『ボブがくれた世界』

ネコ好き、イヌ好き、そんな人ならついこのマフラーを巻いた猫に 目が行ってしまうことと思います。 わたしは猫が大好き。今は飼ってはいませんが、 実家にいた時とっても大事にしていた猫がいました。 そんなわけで表紙を見て手に取ってみたのですが、 この…

須賀敦子の言葉を味わう アントニオ・タブッキ『遠い水平線』

『遠い水平線』。 この表紙とタイトルの装丁にひかれて、手に取ってみた本。 まるで写真集のような、美しい装丁に心が躍ります。 中身はアントニオ・タブッキというイタリアの作家の作品で、 とりとめのないような物語が展開していきますが、 でもそのあいま…

装丁の美しさ、物語の深さ 劉慈欣(りゅうじきん)『火守』

しばらく暮らしが落ち着かずにいましたが、 毎週の図書館通いが戻ってきました。 新しい図書館に通うようになって見つけたのは、この『火守』。 それほど大きくもなく薄い本ですが、装丁の美しさにまずは目を奪われ、 そして物語を読んでみたら神話のような…

忙しい台所のおとも ワタナベマキ『まずは塩しましょう。』

まだまだばたばたしている5月。 単身赴任をする家族に料理の本のおすすめを聞かれたとき、 この本が心に浮かびました。 『まずは塩しましょう。』 食材を切って塩をまぶしておいて、すぐ使える状態にする。 そこから日々の料理を展開する。 この「塩をまぶし…

買い物で自分の考えを主張する 島村菜津『シチリアの奇跡』

GWに入り、ようやく新生活の4月からほっと一息。 新生活になったため、子どもが予想以上に不安定。 通常よりも手がかかる上に、普段は2人生活。 わたしも新しい仕事が始まり右往左往しておりました…。 5月からはブログも通常運転できるかな。 合間、合間に読…

お弁当は保守的です 山本ふみこ『山本さんちの毎日の手紙のようなお弁当』

3月末に引っ越しをして、怒涛の4月が始まりました。 仕事の本格的スタートを控え、再びお弁当生活に。 ただ今年は自分のお弁当がメインで、子どもは週2回。 自分だけの日は、適当になりそうな予感…。 まだ生活は完全には落ち着いておらず、 食材の調達日が変…

新生活に必要な道具たち 「うかたま 2022 Vol.66」

わが家は4月から新生活。 家族が単身赴任になり、わたしと子どもは元の家に帰ります。 台所道具も、半分こ。 仕分けしていると、基本的な道具が2つ必要なものがみえてきました。 だけれども、そのうちまた1つになることを考えると、 この道具は2つ必要か…

続けた先にある楽しみ 山本ふみこ『食卓の力 「くり返し」を楽しむ暮らし』

山本ふみこさんの本が大好き。 一時期図書館にある本をほぼ全てかりて、一気に読んだことがありました。 だけれども見逃していたのか、他の本がその時はツボだったのか、 ブログでご紹介したことはありませんでした。 『食卓の力』というと、 なんだか力んで…

詩人の生きてきた道 伊藤比呂美『道行きや』

『今日』という、赤ちゃんのお世話をする親の一日をうたった詩をご存知でしょうか。 www.fukuinkan.co.jp この赤ちゃんを育てている人にそっと寄り添ってくれる詩を 翻訳された伊藤比呂美さんの本を、書評で見つけて読んでみました。 「今日」という詩と出会…

傷ついた体験を本という場でわかちあう 光野桃『実りの庭』

大好きな光野桃さんのエッセイ。 中学生の時、どれほど光野さんの描くイタリアの美しい女たちに 憧れたことか…。 大学生の頃まで、光野さんのエッセイは本棚の大部分を占めていました。 その後少したって、文庫にしたり手放したりして、 いつの間にか少し距…

何でもない日常が小説になるとき レイモンド・カーヴァ―『大聖堂』

ずっとずっと、名前は知っているのに読んだことのない作家はいるもの。 こんなに毎日本に触れているのに、それでも読みつくせない。 きっと人との出会いのように、本との出会いにもタイミングがあるのだと 思うのです。そうして今読んだことのある作家になっ…

物と人 森瑤子『人生の贈り物』

先日、帽子をめぐる面白かった本を紹介した後、 物について考えていました。 hon-nomushi.hatenablog.com 大切にされた物、どうしても手放せない物、 人それぞれにある物との関係。 思い出したのが今日の本でした。 森瑤子さん。大人の恋愛についての小説を…

読み切った充実感 ジョナサン『フリーダム』

つい借りちゃった…と家に帰って我に返るくらい分厚いアメリカの小説。 この表紙のデザインがすばらしくて手に取ってみましたが、 読むのを中断するのが難しくて、3日ほど読み込んでいました。 読むのをやめられないほど面白かったか? と言われると、内容は…

それぞれの物語 アントワーヌ・ローラン『ミッテランの帽子』

なぜか横になってしまって…見にくくてごめんなさい。 この美しい表紙を、首を横にしてみてくださいね。 主役は帽子。 フランスの大統領フランソワ・ミッテランが ある日レストランに帽子を忘れ、 ひょんなことからその帽子を手に入れた3人が、 ぱっとしない…

静かな本 ナン・シェパード『いきている山』

図書館の新刊本コーナーにひっそりとあり、 この美しい表紙に魅せられて借りてきました。 作者は1893年、スコットランドに生まれ、 1981年に亡くなっているナン・シェパード。 1944年ごろ書かれたこの作品は日の出を見ず、 1977年にようやく出版されたのだそ…