衝撃という以外にない、強く感情をゆすぶられる作品に出会うことがあります。そんな作品に出会うと、その後何日も本の中の場面を何度も思い返すことがあります。
そして、忘れられない。この本もそんな作品の一つ。
図書館のティーン向けの本棚にあったので、何気なく手に取ったら、
これがまた!心の奥からゆすぶられた作品でした。
梨木さんの作品は『西の魔女が死んだ』、『裏庭』など、何度も読み返していましたが、久しぶりに新しい作品を手に取りました。
れっきとした犯罪にはならないけれど、誰かを深く傷つけてしまったできごと。
日常に潜む性犯罪への扉、それらが戦時中の精神状態と絡まりながら、
今生きる10代の子供たちが向き合っていく。
そういうととても単純化されてしまうけれど、きっと自分も加担している誰かへの暴力に衝撃を受けながら読み進めました。自分とは無関係とは言えない事実を、小説の中から突き付けられた作品でした。