hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

また会いたくなる主人公ー今江祥智『優しさごっこ』『冬の光ー続優しさごっこ』

f:id:hon-nomushi:20160419145307j:image

時々、どうしているかな?と実際に生きているように会いたくなる本の主人公たちがいます。この『優しさごっこ』という作品は、時折むしょうに主人公たちに会いたくなって、探してしまう一冊です。

 

『優しさごっこ』は、小学生のあかりが父さんと母さんの離婚によって、父さんと二人で暮らしはじめるところから始まります。そういうと、なんだかちょっと暗い作品のような気がしてしまいますが、そんなことは全くないんです。

 

日々の暮らしを一生けん命にこなす絵本作家の父さんと、父さんだからこそのきままなおおらかな生活が、二人の日常を彩っていて楽しいのです。

食事を作る権利である「おしゃもじ権」を譲り合ったり、父さんの恋愛をあかりもちゃんと理解していたり。

二人家庭だから、という理由の世間から受ける扱いなども、無視されず、でもことさら強調されずに、ただあかりの素直な視点から描かれています。

 

絵本作家の父さんだからこその知り合いが家にたくさん現れて、その人たちもまたとても魅力的で、ただただ人としての楽しさに脱帽してしまいます。

こんなに魅力的な人たちがこの作家の頭一つから出現したなんておそるべし。

いつか、そろそろ、こんな人たちになりたいと思う毎日です。