軽い気持ちで読み始めましたが、けっこうヘビーだった本。
漫画ですが、親の一人として考えさせられます。
主人公はウソ泣きが得意。とはいえ、本当に自分で泣いたことはなくて、
なぜ人が涙を流すのかよくわからない子。
父母とも表面上は完璧な美しい家庭だけれども、父が浮気しているのを知っているし、
母はかなり無理している。それを主人公はわかっているのです。
あるとき母が突然主人公を大阪の親戚に追いやり、主人公はまるで異世界のような大阪弁の世界の中に放り込まれます。そこから嘘をついてなどいられないような状態になり、大阪弁の世界で本当に泣くことを知ります。
親子の関係もなんだかぞっとするのですが、きっと世の中に存在するのだろうな。
何より他人ごとではなくて、なんだか自分が嘘をついていることもあるのではなかろうかと、ちょっと怖くなりながら読みました。
でも、ただ怖いだけではなくて、さすが大阪弁のボケとつっこみがものすごく面白くて、子どもとの会話がおかしくておかしくて。そのタイミングの絶妙さになんとも説明しがたい面白さを覚えました。
あんまり元気が出なくて、現実逃避したいときにぜひ。
異世界と現実の間を行き来する感覚が味わえます。