もう冬になってしまいましたが…。秋になるとたまらなくロールケーキが食べたくなります。それは、もちろんこの本に出てくる小説のおかげ(せい?)…。
5つの短編集が含まれているこの本ですが、冒頭の「幽霊の家」に出てくるのが
絶品のロールケーキ。主人公の恋人が、老舗ロールケーキ屋さんの息子なのです。
実際に存在するわけではないのに、読むとたまらなくそのお店に行きたくなって、味わいたくなります。文字だけで味わいたくなるとは、作者の文章力ですね。
「幽霊の家」には、老舗の洋食屋さんも出てくるのですが、それもまたとても魅力的でおなかに直接訴えかけられます。
他の短編も魅力的ですが、一番心をひかれるのがこの「幽霊の家」。ちょっとぼんやりした、時間をかけた恋愛のスピードも、秋に合っているような気がします。
少し季節を巻き戻すようですが、秋におすすめの一冊です。