hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

仕事がテーマでも 喜多川泰『手紙屋』×穂高明『むすびや』

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たまたま読んだ本が、就職に関する本でシンクロしていました。せっかくなので2冊同時にご紹介します。

 

喜多川さんの作品は読むたびに背中を押してもらうような、あたたかな力強さを感じます。穂高さんはこのブログでも何度もご紹介していますが、新作は必ず手に取る大好きな作家のお一人です。

 

今回喜多川さんの本を手に取ったのは、ある方のメルマガで名前があがっていたことがきっかけ。急に読み直したくなり、手に取った最初がこの『手紙屋』でした。就職活動に悩む主人公は、行きつけの変わった喫茶店で「手紙屋」という広告を発見。そこから手紙屋との文通を通して、大きく成長していきます。装丁も美しくて、シンプルでまっすぐな言葉がつづられています。とてもすがすがしい。

一方『むすびや』は、就職に失敗して実家のおにぎりやを手伝うようになった少し気の弱い主人公が、自分の失敗をもんもんと抱えながらも、実家のおむすびのすごさに気づいていく物語。丁寧に主人公の気持ちを追ういつもの穂高さんのテイストは変わらず。気の弱い主人公だけれどもつい応援したくなる、温かいまなざしが感じられます。

 

どちらも予期せず同じ就職や仕事というテーマだったので、仕事のことや生き方のこと、たくさんヒントをいただきながら読み進めました。どちらの本でも共通して感じたのは、主人公たちが一人で問題に立ち向かっているようにみえても、実は多くの人に助けられているということ。きっと自分もそうだったろうと思うのですが、そのときは必死で気づけなかったな。

こうして本を通して自分の体験を見ると、もう終わってしまった今だからこそ気づけることがたくさん。たとえテーマが今の自分と離れていても、前を思い返すことでヒントをもらって、今の自分が充実していく気がします。