いやいや、恐ろしい小説でした。とはいってもテーマは保活なのですが…。
保活なのに恐ろしいとは異常ですが、その異常さがよくわかる小説でした。
保育園に入るために偽装離婚を企てたり、保育園に入ったら入ったで超高級誕生会をしなければならなかったり、お受験で村八分にされたり…。生きにくい要素が満載に描かれている子育て世代の話がたくさん…。もちろん小説なので、ノンフィクションではないけれど、多分にノンフィクションの要素があるのではないかな、と推測できるところがまた怖い。
多分当事者じゃなかったら冷静にいられると思うのですが、巻き込まれていたら自分の立ち位置を見失いそうな狭い世界の様子。離れて客観視することができたら、きっと異常さに気付くと思うのですが。そう思えたのも、この小説を読んで客観視できたからかな。
そんな世界の中で救いなのは、主人公の夫の存在。主人公の夫は子育てに協力的で、とにかく夫婦でたくさん会話をしています。子育ても、もちろん一緒にしています。核家族で子育てをする家庭が多い今、いろいろなことを共有するという部分が一番求められているナイトの要素だと感じました。時代によってナイトの役割は変わりそうだけれど、怖い中に夫婦の何気ない会話も含まれていて、そこにちょっとほっとした読書でした。