hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

美しいものを見る目は育つ 津上みゆき『時の景』

先日石垣島のことを知りたくて本を探していた時にはっとしたのは、

小川糸『ようこそ地球食堂へ』の表紙の美しさでした。

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初めて読んだときは中身ばかりに目が行っていましたが、

改めてみてみたら美しい表紙に目を奪われました。

早速本の中を見て、この表紙が津上みゆきさんの作品であることがわかりました。

 

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津上さんの作品が本の中で、小さなノートブックや見開きのページなどに次々と現れて、息がとまりそうに美しい世界に没頭しました。こんな時は本当に幸せで、絵を味わうことを教わっていて本当によかったなあと思います。

 

私は大学でフランス文学科に所属していたのですが、入学してすぐにオリエンテーションも兼ねた草津への1泊旅行がありました。その帰りに寄ったのが軽井沢の現代美術館。それまでいわゆる名画の鑑賞はわりと好きだったのですが、モダンアートはなんとなくよくわからないものだったので、自分では見たことのないものでした。でもそこで友人たちや先生たちと見た作品はすごく面白くて、それ以来モダンアートが大好きに。

 

今思えば最初の出会いがすばらしい作品ばかりだったから、今も大好きなのだと思います。高校を卒業したばかりの学生に、容赦なく素晴らしいものを見せてくださった大学の先生方のおかげです。津上みゆきさんの作品のすばらしさがわかるのもあの時の出会いがあったからだと思います。そして美しいものを見る目を育てていただいたことに心から感謝しています。(肝心の勉強はあんまりしなかったけれど…)そして「美しいものを見続けるとすばらしいものがわかるようになる」ということも、自分の経験から深く信じています。

 

いつもの読書とはまた違う美しい絵にたくさん出会うひとときは、本当に幸福でした。