hon-nomushi’s blog

人生の友になる本、片付け記録や毎日のつれづれ

あったことをわすれない 伊藤詩織『ブラックボックス』

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今まで紹介してきた本とは異なるノンフィクション。

 

作者は仕事で知り合った人に暴行され、その事実を自分で書き、本になったのがこの著書。ただ時間の尺度では過去のことだけれど、著者は何度も何度もその時間を繰り返し再生し生きて、この本を書かれたのだと思います。

 

作者が生きてきた時間。子どものころからジャーナリストになる夢を持って留学。自分でお金を稼ぎながら生きて、そして暴行に合った経緯も何も隠さず描かれています。暴行がそこまで1人の人を打ちのめすほどのものだということを、そしてすべてを根こそぎ変えてしまったその暴力さを、痛いほど感じました。そしてなかったことにしないために、本当にたくさんのことをしなければならなかったこと。ご本人だからこそ、語れた、たくさんのその後のこと。暴行は辛い事実だけれど、読むことで触れたこと、心が痛んだことを忘れずにいたいと思いました。

 

今でもそのような被害が起きることが、他人ごとではないことは親でもある私が覚えておくべきことなのだと強く思いました。決して向き合うのに簡単ではないけれど、顔も名前もさらけ出しながら1人の人がさらけだした文章は、忘れないために心に刻んでおくのに十分でした。そして苦しみがずっと続いている事実からも目を背けない、背けられないこと。