わたしが本を選ぶとき、児童文学作品と大人向けの作品という区別をすることはほとんどありません。図書館では子ども向けコーナーでも必ずうろうろ。図書館全体を歩いて目に止まる本を探します。
たまたま子どもコーナーを歩いていて、見つけたのがこの作品。あっという間に世界へと引き込まれて、一気に読んでしまいました。
主人公は二人とも「月」を名前に含み、全く違う場所で、全く違う環境で暮らしてきました。それがひょんなことから森の中のお屋敷に住むお金持ちの女性に引き取られ、2人は出会います。そこから屋敷のある場所と、2人の運命が絡まり合って物語が展開していくのですが、そこには時間も大切な要素としてかかわってきます。
時間が中で交差する物語には、子どものころから惹かれ続けてきました。なぜか「時」という単語を見ると、読まずにはいられませんでした。それはわたしがずっと「時」という実態のないものでありながら、人の生活に深くかかわっているものに興味を持ち続けているからだと思います。
この物語の中でも、過去や現在が複雑に絡み合っていくのですが、2人の運命もまたその時間によって、変化していきます。いくつもの運命が異なる時間を舞台にしながら、絡み合う様子を物語として楽しむことができます。読み終わった後はほっと一息ついてしまうほど、世界にのめりこみました。
普段は児童文学を読まない方にもおすすめしたい1冊です。