子どもと一緒に図書館をうろうろしていて、児童文学コーナーで見つけた1冊。
タイトルがとても印象的なので、わたしが子どもの頃から目には入っていたのですが、
この独特な絵の美しさが当時はわからず、読んだことのない作品でした。
始めて作品を読んでみて、今この作品を読むことができて、そして子どもの頃はわからなかっただろう作品の良さを見つけられるようになっていて、本当に良かったと思いました。
主人公の姉妹は夏休み、おじさんの家で過ごすことになりました。2人だけの冒険を特別なものにしたいと、2人はおじさんの家では互いに別の名前で呼び合うことにしました。ある夜、外で眠っていると女の子は表紙に書かれている白い洋服の女性を見かけます。現実なのか幽霊なのか、恐怖におびえながら、女の子は女性の正体を探ります。そして、偶然おじさんの納屋で見つけた古い雑誌の中に、アフリカの女王の写真を見つけるのですが、それが白い洋服の女性にそっくりだったのです。女の子は女性を女王だと思い込んで、彼女のことをより知りたいと探り続けます。
すばらしいと思ったのは、夢見がちな主人公の女の子が現実と向き合った時の様子です。最後の数ページですが、夢から現実へ着地するその描き方がとても自然で力強く、無理がないのです。夢の中にそのまま主人公を置き去りにするわけでもなく、かといって辛い現実と向き合わせるわけでもなく、主人公が新たな現実への向き合い方を得る過程を丁寧に描いています。わたしは読書後、ラストのすばらしさでしばらくぼーっとしていました。これは大人になった今だから、わかったすばらしさかもしれません。
本と人には出会う時期が必ずあって、はた目ですれ違っていても交わらない時期もある。だけれども、いつか出会うべき作品は必ず手に取る時期が来るのだと思います。気になっている本だけれども、まだ手に取っていない本とは、きっとどこか最善のタイミングで巡り合うのだと思います。わたしにとって、この本はそんな出会いの本でした。