hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

種というちいさな記憶体 岩崎『種をあやす』

長崎の小浜温泉近くに、タネトという野菜の直売所があります。 プラスチックフリーで地元の元気な野菜を扱っているところ。 そこによく岩崎さんのお野菜があって、種取り農家さんという存在を 初めて知りました。 なるべく野菜は元気なオーガニックのものを…

心の動きを丁寧に追う小説 群ようこ「れんげ荘物語」

群さんの小説が大好きなのに、読んだことがなかったれんげ荘の物語。 先週のひととき、シリーズ全冊を楽しみました。 主人公は40代。 それまで嫌なことをして働いて、 気の合わない母親との生活をしていた彼女は、 仕事を辞めて働かないで暮らすために、 月…

遊びは生きるかて 西川正『あそびの生まれる場所』

日本の子育てを経験していて、 ほんとうに閉塞感を感じます。 電車やショッピングセンターにいる赤ちゃんたちは、 たいていスマホ漬け。 なかないため、親のため?もあるだろうけど、 一番は赤ちゃんが泣くと生まれる まわりの見えないちくちく視線なのでは…

時にやさしい本を手に取る 井田千秋『家が好きな人』

勤務先にあって、「あ!」と思った本。 本のタイトルを新聞の帯で見つけた時から読んでみたかったんです、 この本。 中は漫画とコミックエッセイとの中間のような、 範囲が少しあいまいな本だと思います。 中は同じアパートに住む住人の、それぞれのインテリ…

本屋さんが好き 朴順梨『離島の本屋』+『ふたたび離島の本屋』

このところ本屋さんにとっても興味があって、 たまたま読んでいた本の最後にこの本の紹介があったことから読んでみました。 日本には、本当にたくさんの島があるんですね! 知りませんでした。 長崎に住んだときは五島・対馬・壱岐があるので、 離島という言…

ケストナーへの深い愛 ケストナー『エーミールと三人のふたご』

ケストナー作品と出会ったのは小学生の頃。 夢中になって読んだ『ふたりのロッテ』、もちろん『エーミールと探偵たち』も! なのにこのふたごの本だけは、今まで読んだことがありませんでした。 良く通っていた図書館になかったのかしら? でも、このタイミ…

次の動きを見据えて学び ジェイソン・ヒッケル『資本主義の次に来る世界』

今週は月曜日まで旅に出ていたので、ばたばたしていました。 普段は単身赴任の家族も家にいて、 なんだかスケジュールがぐちゃぐちゃ。 ようやく落ち着いてブログを書くことができます。 さて、今回の本は小説のように読みやすいものではなく、 経済の本です…

疲れた時の特効薬 群ようこ『たりる生活』

「つ、つ、疲れたー」と言いたくなる日は誰にでもある。 もちろん、わたしにも。 そして、そんな時は仕事終わりの日が うれしくてたまりません。 今週もブログアップが遅くなりましたが、 本は変わらず読んでいます。たくさん。 忙しくはなかったのだけれど…

LGBTQの描き方 原田マハ『ロマンシエ』

いつも一定の火曜日または水曜日、 そして金曜日にブログを書く予定でいるのですが、 最近週中が忙しくて、ブログが書けない時が続いています。 なかなか定期的にUPできずに、ごめんなさい。 少し落ち着いたので、来週くらいから定期的にUP できるようにした…

いつか外国語で到達したいところ 李琴峰『透明な膜を隔てながら』

美しい日本語を読みました。 李琴峰さんという作家の方をご存知でしょうか? 台湾出身、つまり日本語は第二言語。 なのに、なのに、 なんて美しい日本語を書かれるのだろう。 読んだとき、心が震えました。 というのもわたしも外国語学習者だから。 こんなに…

ミニマムな台所へ ドミニック・ローホー『少ないもので料理する』

先日、台所に2つものが増えました。 スライサーとヨーグルトメーカーです。 どちらも悩みに悩んで注文したものだけれど、 モノが増えたのは事実。 料理が確実に楽しくなりましたが、 キッチンのものはあれやこれやと新しいものが出てくる世界。 はたしてど…

生涯行くことのない地へ想いをはせる 川俣一英『エーゲ海の修道士』

村上春樹『雨天炎天』をこよなく愛しています。 その舞台となっているギリシャのアトスについて書かれたこの本を、 大好きなセラピストさんがお読みになっていて気になって。 お正月明け、ようやく図書館に届きました。 舞台となっているのは女性が決して入…

寝る本を読んで眠れなくなった話 ショーン・スティーブンソン『SLEEP』

昨日の夜はあまり眠れませんでした。 せっかくこの本を読んだのに…。 皮肉なことに、眠りについて考えすぎたせいか かえって眠れなくなってしまいました…。 ー午後14時までしかコーヒーを飲まない ー夜パソコンを使わない ー運動をする を家族が実践したとこ…

映画から興味を持って ヘミングウェイ『移動祝祭日』

「シティオブエンジェル」 という映画をご存知でしょうか。 天使と医師が恋をするお話なのですが、 わたしはこの映画が大好き。 久しぶりに見たいと思って、見返してみたら このヘミングウェイの小説が出てくることを思い出して、 かりてきました。 そういえ…

絵から生まれる物語の宝箱 ローレンス・ブロック編『短編回廊』

あけましておめでとうございます。 簡単におめでとうと言えないお正月でしたが、 それでも日々は過ぎていく。 できることをできる範囲でやっていきます。 本の時間もいつもより短めでしたが、 そんな時に最適なのが短編集。 以前ご紹介したこの関連作品。 ho…

季節で読みたくなる本 田辺聖子『シクラメンの窓』

駅に近づくとき、郊外の私鉄電車はスピードを落す。手前のカーブがきついので、線路すれすれまで建った家々の軒を掠めそうになる。やがて駅へすべりこみ、するとホームを隠すような看板で、もう家々は見えない。産婦人科、金融、海老料理店などの看板がつづ…

全て作るレシピの本 中川たま『たまさんちのおおらかなおやつ』

レシピの本は基本的に買わずにすませたい。 本を見て「これ作ってない…」となるのが嫌だから。 けれども久しぶりに、新生活になったばかりの今年の4月に この本と出会ってから、 あまりに図書館で何度も借りすぎて、 さすがに買おうと決めました。 この本の…

意識する、目に入る 原田マハ『さいはての彼女』

原田マハさんの作品を読み続けたくて、 別の本を借りてきました。 読んでみたらびっくり! 最近知り合った方が関わっているハーレーダヴィッドソンという バイクにさっそうと乗る女の子の話、 訪れたことのある北海道の鶴居村が舞台になっていたりして、 一…

たまに古典と触れ合う オスカー・ワイルド『カンタヴィルの幽霊/スフィンクス』

オスカー・ワイルドという作家をご存知でしょうか? きっと大学で英文学を専攻された方などは、ご存知なのではと思われます。 言わずと知れた古典の1つですが、 古典というのは何ともとっつきがたいもの…。 読みにくい訳に古語が混じって、本の本質を理解す…

絵画と小説の出会い 原田マハ『暗幕のゲルニカ』

いや、おもしろかった。 夢中になって読みました。 『三体』(以前のブログにあり)を最近読破したので、 図書館をうろうろして読みたい本を探していたところ、 原田マハさんの作品に出会いました。 以前彼女のモネを題材にした本を読んだことがあったので …

お宅訪問の楽しみを本で 伊藤まさこ『あっちこっち食器棚めぐり』

高校生のころから、インテリアが大好き。 今の自分の家と写真を比べてはため息をついていました。 今は?少しずつ理想に近づけているかな。 高校生の頃はたくさん雑誌を買って、読んでいましたが 今はあまり心ひかれる雑誌やインテリアがなくて、 もっぱらピ…

美しい絵とともに 人生の物語 モーパーゴ作『パフィン島の灯台守』

なんてきれいな絵。 図書館の本棚に埋もれていた美しいこの本を見つけた時、小躍りしました。 この本の主人公はパフィン島という島の灯台守。 ある日難破した船に乗っていた人々を助け、 その中の少年と一生をかけて付き合っていくというお話でした。 とにか…

思春期を本で知る 伊藤比呂美『伊藤ふきげん製作所』

さすが詩人!なタイトルです。 ふきげん製作所とは‥‥。 仕事で思春期真っただ中の子どもたちと触れ合っているので、 そのためとこれからの子育てのために読んでいます。 思春期って本当に嫌です…。 自分が過ごした日々を振り返ると穴があったら入りたいこと…

新しい占いとの向き合い方 石井ゆかり『3年の星占い 蠍座』

11月10日。今日発売の本です。 予約で購入しておいたので、 夜中の0時に端末にダウンロードされていました。 開店を待ち本屋さんに行って本を購入する時代から、 欲しい本が朝起きて家ですぐに読めるなんて、 時代は変わりました。 けれど、読み方や本との関…

仕事を客観的に見る 小川洋子『そこに工場があるかぎり』

以前から知ってはいたのだけれど、しばらく手に取らずにいた 小川洋子さんの工場めぐりの本。 最初の工場はとにかくものに穴を開ける工場。 軽い気持ちで読み始めましたが、なんだかところどころに 自分と仕事との向き合い方にがつんとくる文章がありました…

とにかく稲垣さんの本ばかり 稲垣えみ子『アフロ記者が記者として書いてきたこと。退職したから書けたこと。』

今夢中になってひたすら読んでいる稲垣さんの本。 きっかけは『家事か地獄か』という一冊と出会ったことでした。 朝日新聞で記者として働いていらしたころの稲垣さんの記事は、 身に迫るものがありました。 原発に反対しながらも、結局のところ電気が(たく…

スーツの選び方 内澤旬子『着せる女』

洋服の選び方、実は知らないのではないか? とこの本を読んで心から思いました。 何冊も出会ってきた内澤さんの書物の中でも、 最近出会ったこの著書。 男性のスーツの選び方について、実際の男性をモデルにしながら 変身する写真と共に実況中継をしてくださ…

何歳でも変化を起こす 髙森寛子『85歳現役、暮らしの中心は台所』

先日訪れた友人宅。 独身の頃から、食べること、生きること、道具の持ち方がすごく素敵で、 大好きな彼女。 2人の子どもが産まれた今も、彼女の美しい暮らしは健在でした。 特に彼女は漆器の使い方がとても上手。 今回も氷の入れ物に漆器を使っていてはっと…

頭ではなく紙に覚えてもらう ポーラ・リッツォ『リストマニアになろう!』

あまりこのカテゴリーに本が多くはないのですが、 実はわたしにとってライフワークともいえる書くことと願望達成の関係。 この本はそこまで「夢をかなえよう!」「理想の自分になろう!」 というほど前のめりの願望達成ではなく、 日常が楽に回るようになる…

美しいと思う国 椎名誠『アイスランド』

圧倒的に美しい自然の風景。 いつかのブログで南に惹かれるひと、北に惹かれるひとがいるのでは、 と書いたような気がするのですが、 わたしは圧倒的に北に惹かれるひと。 小さいころに見たラップランドの景色を忘れられず、 リンドグレーンの影響もあって北…