hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

世界の果てをみてみたい 井形慶子『英国セント・ギルダ島の何も持たない生き方』

                         f:id:hon-nomushi:20240913155229j:image

ミニマリストの本かな?と思いながら手に取ってみたら、

今は人の住んでいない無人島から人が引き上げた時のこと、

その前の島の歴史について書いた本でした。

 

著者はイギリスについてたくさんの著作がある方。

まだわたしはイギリスに行ったことがないのですが、

メアリー・ポピンズからパディントンまで大好きな本がたくさん!

だからいつか行ってみたい、と強く思っているのです。

旅リストの優先順位的には高くはないのですが。

 

そんな中、ミニマリストの本かと思って手に取ってみたら、

まあ著者とこの場所の出会いの面白いこと。

そしてこの本を書いてくれと、最後の住民たちから

言われたかのような不思議な出来事が綴られていて、

場所と人との不思議な出会いにも思いを馳せました。

 

あるスピリチュアルな方に、

「行ってみたいと思うところや行ってみたところ、というのは

前の魂がすでに旅している所」

と教えていただいたことがあります。

場所とも不思議なご縁というものがあるようで、

もしかしたら場所についての本を書くときも、

様々な魂に導かれて書くものなのかもしれません。

 

海の中の孤島のような生活の厳しい島で、

危険な漁をしながら暮らしを立てていた島民。

その後生活の変化、様々な時代の変化に対応しながら、

最後は島を引き上げるという選択をした人々。

 

著者の丹念な調査と温かなまなざしも感じられる、

ただの旅行記とは一線を画した一冊だと思いました。

普段は図書館に静かに眠っていて、

気になる人にだけ本から手をのばしてくれているような、

そんな本でした。

 

知らない場所が大好きな方に、ぜひおすすめしたいです。

今は失われてしまった、誰かの大切な場所に

本を読むことで旅をすることができます。