hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

おいしいを味わう

クリームティーへのあこがれ よしもとばなな『スナックちどり』

以前この本を読んだとき、イギリスのペンザンスという土地が舞台なのですが、場所の描かれ方がとにかく印象に深く残った作品でした。これぞ旅の小説の醍醐味だとも思うのですが、今回読み返してみると、主人公の様子はすっかり忘れていました。とにかく場所…

バレンタインはひそかに なかしましほ『おやつですよ』

朝5時。起きてきたばかりの家族にバレンタインを。 我が家では子どもがまだ小さいので、チョコはあげていないのです。小さい人が起きてくる前に、家族の食べたがっていたケーキを渡しました。リクエストは「ザッハトルテ」だったので、濃厚なチョコが食べた…

秋になると思い出す本 よしもとばなな『デッドエンドの思い出』

もう冬になってしまいましたが…。秋になるとたまらなくロールケーキが食べたくなります。それは、もちろんこの本に出てくる小説のおかげ(せい?)…。 5つの短編集が含まれているこの本ですが、冒頭の「幽霊の家」に出てくるのが 絶品のロールケーキ。主人…

はちみつ再発見! 前田京子『ひとさじのはちみつ』

ときどき、当たり前に周りにあるものの良さを再発見して、輝いているようにみえることがあります。最近の再発見は、はちみつ! 今までただ甘いだけの、どちらかという敬遠しなければならないような食べ物だったはちみつ。この本を読み、がらりとイメージが変…

日常のルーティーンにも冒険 瀬戸口しおり『私の手料理』

たいてい毎日する料理。毎日だからあまり楽しくないかというと、 そんなことがないのが、料理の奥深さ。もちろん面倒なこともあるけれど、どんな味か食べる楽しみもちゃんとあることがうれしい。 それは毎日食べたいものが違ったり、季節を感じる食材が手に…

出会ってうれしい 群ようこ『パンとスープとネコ日和』+続編『福もきた』

ほかに読む本がたくさんあるのに、ついさっと手に取ってしまいました。ドラマにもなっていた『パンとスープとネコ日和』、読むのは2回目です。 ドラマになっていたとき、お店のサンドイッチがもうおいしそうでおいしそうで大好きでした。そして、主人公の家…

レシピにごくりー西澤保彦『さよならは明日の約束』

あまりミステリーは読まないのですが、何となく手にとったこの本は あたり!でとても楽しみました。 短編が重なり合い、登場人物がいろいろな視点から描かれていました。 大きなドーナツが印象的な表紙。のっけからレシピにやられました。 第一話の主人公は…

新しい一歩、そして愛するすべての登場人物ー梨木香歩『雪と珊瑚と』

4月になり、我が家の周りでは桜が美しいです。 まだ肌寒い3月中、偶然図書館で出会った梨木さんのこの作品。 新しい生活の始まる今、ぴったりの作品でした。 梨木さんの本は依然もここで紹介しましたが、どうしてここまで登場人物の気持ちをわかり、言葉にで…

ビバ寒天!-高田郁『銀二貫』

このブログを通じて、新しい作品と出合いました。 ご紹介いただいて、貸していただいたのがこの作品。 面白いことに、同時期に全然別の方々から同じ作品を勧めていただけることがあって、 そんな不思議なご縁もある作品です。 ちょうど中心的な役割をはたし…

すべてが満たされるー小川糸『つるかめ助産院』+『これだけで、幸せ』

素敵な小説に出会いました。 小川糸さんのこの本、読み終わった後においしいものを食べ終わったような すべてが満たされた感覚で、ほっと一息ついています。 小川糸さんの小説が原作の映画「食堂かたつむり」は、おいしそうな食べ物の印象がすごく強かったの…

ごはんの中で一番好きー山本ふみこ『朝ごはんからはじまる』

あるときカナダを訪れて、そこで暮らす学生の友人と、お昼ご飯を食べようということになりました。 その都市では、朝ごはんが11時くらいまでたっぷりのボリュームで出されるそうで、学生の私たちは一食でおなかいっぱいにしようと、11時間際にレストランに…

りんごケーキの思い出ー王由由『Yuyuのお菓子と一緒に』

冬に来客があると、必ず作るりんごのケーキ。 家に来てくれた方はかなりの確率でこのケーキに出会うのではと思います。 カップ計量で混ぜるだけの簡単ケーキは、材料もシンプルで、 覚えていられるので登場回数が格段に高いのです。 出会いは母の大切にして…

ごましらたまの誘惑ー湯本香樹実『岸辺の旅』

年末の26日、ごちそうをたらふく食べた後に健康診断を入れてしまいました。。 病院のお供に選んだのはこの本。 たまたまながら、病院で読むのにぴったりな本でした。 数日前に、この作品が原作の映画予告を見ていたのですが、 この本が原作とは気づかず、読…

冬の夜にー吉田篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした』

今年新たに発見し、小躍りした作家のおひとり、吉田篤弘さん。 『暮らしの手帖』をぱらぱら見ていて、彼の本の広告を見つけました。 はじめはレシピだと思っていて、ゆっくり読もうと寝かせておいたのですが、 家族が先に読んであまりに楽しんでいるので、読…