以前この本を読んだとき、イギリスのペンザンスという土地が舞台なのですが、場所の描かれ方がとにかく印象に深く残った作品でした。これぞ旅の小説の醍醐味だとも思うのですが、今回読み返してみると、主人公の様子はすっかり忘れていました。とにかく場所の描写が強く記憶に残っていたようです。
そんな中でもとりわけ気になったクリームティーという習慣。主人公たちがさびれた街を観光しながら、「クリームティ―をしにいく」という表現に心を揺さぶられました。同時に好奇心がむくむく。イギリスでは、スコーンにクロテッドクリームというこってりしたクリームとジャムを塗って、お茶と一緒にいただくメニューがあるそう。アフタヌーンティーよりは軽いそうですが、スコーンも紅茶も大好き。なんとも心ひかれます。
そうして本題からは脱線した記憶が残っていたこの作品ですが、読み返した今回は、離婚直後の主人公の様子や、もう一人の主人公ちどりが祖父母と営んでいた清潔なスナックの様子など、再び違うポイントで楽しみました。
まだいつかわからないけれど、イギリスに行こう、クリームティしに行こう。そしてペンザンスの雰囲気にも触れてみたい。その時は必ずこの本を持っていこう。