須賀敦子を再読するようになって、イタリア文学コーナーをうろうろするようになりました。そんな中、美しい本が目に留まり、手に取ってみたのがこの「ナポリの物語」。
久しぶりにしっかりとした文学に触れた数日間!
’全世界的ベストセラー’の一言でつい借りてしまったのですが、
読んでいると心だけナポリに飛んでしまい、
心ここにあらずになっていました。
(行ったことがないので、あくまで心だけ)
舞台はナポリ。
1人は賢くおとなしいエレナ、もう1人は天才的に賢く激しく暴力的なリナ、
相反する2人の間の友情と、長い人生を描いた小説です。
この本を読んでいると、まるで自分もナポリの舞台となっている街で
暮らしているかのよう。
勉強することに理解のない両親の元、家庭での暴力や近所のケンカ騒ぎなど、
読んでいると周りの様子もまるで見ているかのように目の前に迫ってきます。
そんな中、リナとのライバル関係から必死で勉強を続けるエレナ、
早々に地域のお金持ちと結婚しながら、家庭内暴力から逃れられないリナ、
それぞれお互いにライバル心を持ちながら、互いの友情のようなものは
続いていきます。
2人の間にあるのは、穏やかな助け合う友情ではなく、
互いに目の上のたんこぶのようなもの。
それは思春期を迎える時期に、さらに複雑に絡み合っていきます。
2作目で、エレナはフィレンツェで生活をし始め、
ようやく生まれた町をはなれます。
とにかくストーリー展開だけお伝えすると簡単なのですが、
文のなかにその土地にしかない雰囲気のようなものがしっかりつまっていて、
まるで自分もその地で主人公たちと人生にあらがっているような気になるんです。
これを読んでいる間は、自分の人生をほったらかしたくなったほど
のめりこんでいました。3冊目が手元にあるのだけれど、まだ我を忘れるのが怖くて
手を付けていません…。
時間のあるGWにぜひどうぞ。
海外小説あるあるですが、もし途中で主人公たちの名前に
「誰だったかな?」と思っても、
冒頭に人物説明があるのでご安心くださいね。
(わたしも、何度巻き戻ったことか…)