hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

ウィークポイントを知る片づけ わたなべぼん『ダメな自分を認めたら部屋がキレイになりました』

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久しぶりにミニマリストの本を。

わたなべぼんさんの本、2冊目。どうしてコミックエッセイはこんなにおもしろいのでしょうか。作者のイラストの力量で、まるで部屋の中を写真でみせてもらったような、実録お片付けの経緯がとっても面白かった!

 

作者はお部屋にパートナーと住んでいらして、日々なくしもの、ごみ、ほこりにまみれて生きていらしたそう。でもあるときふと片づけてみたら、その楽しさに目覚めどんどん片づき、今ではきれいな部屋にお住まいなのだそうです。部屋がきれいになる工程には、本当に心の見なかったことにしていたことも明らかになっていくのが興味深いです。

 

料理が苦手だから、と買い込んだ料理本が占拠する台所。

できないままの英会話の教材ばかりがたまっていく本棚(これは耳が痛いです)。

どうでもよい食器ばかりをつかい、引き出物でいただいた素敵な食器は箱に入ったままの食器棚。

 

人が自分をどう扱っているか、というのは部屋とモノを見ればなんとなくわかる気がしてくるこの頃。作者も大事な食器を普段使いし始めたら、部屋だけではなく気持ちも整っていき、自分も大切にできるようになっていきます。できないことはあきらめ、少しずつできる範囲を丁寧にやっていく作者の姿から、勇気をたくさんいただきました。

 

明るくてすぐに読めてしまうコミックエッセイですが、片づけと心の関係をちゃんととらえているこの本は、自分を大切にするというプロセスがたくさんこめられているのがわかります。すっきり、読後感がとても気持ちの良い1冊でした。

 

 

今日の片付け いす2つ

きれいだなあ。何気ない部屋の隅に、色の素敵なコントラストができていました。

ホワイト、グレーとピンクの大好きな組み合わせ。椅子の上にあるのは去年購入したばかりのブランケットと、ストール。

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この椅子は、もともとダイニングで使っていたもの。生活が変わりテーブルを低くしたために、使う場所がなくなってきていました。もともとは4つあったのですが、来客時しか使わないので、去年2つ友人に譲りました。あとの2つは置く場所に困って、何となく部屋の間を行ったり来たりしていました。幸いなことに引き取り先がみつかったので、2つとも手放すことにしました。

 

というわけでもうこの景色を見ることはないのですが、最後に美しい写真がとれて満足。ありがとうをこめて、次に活躍することを願って、手放しました。

 

 

後片付けもかんたん 白崎裕子『かんたんお菓子』

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ぼんやり、のんびりな梅雨。梅雨はいつも苦手です。気が付いたら更新が滞っていました。今日は気を取り直しておいしいものが簡単に作れる、素敵な本をご紹介します。

 

先日なんちゃってチーズケーキタルトを作りました。とはいっても、中身にチーズは一切入っていません。生地はこの白崎裕子さんのレシピから。こちらはバターや乳製品不使用。

タルト生地はハードルが高く、時間がかかりそうなイメージですが、本を見ると作るのは15分ほど、とあります。ほんとかなあ、とタイマーで測ってみたのですが、計量も含めて15分でできました!

 

何となくお菓子作りはハードルが高そうなイメージ。その原因は、材料をそろえたり、後片付けのことを考えて、ではないでしょうか。その点この白崎さんの本は本当によくできていて、家にある菜種油や豆乳などを使うので、材料は簡単にそろえられます。

 

そして一番は、片づけが楽なのです。バターのついたネトネトを洗うのはしんどいけれど、乳製品や卵がないのでさらっときれいになります。さらにコツは、お菓子をオーブンに入れている間に使ったボウルを洗ってしまい、熱の出ているオーブンの上に使った器具を置くこと。乾燥器にかけるまでもありません。出来上がった頃には片づけが終わっているので、のんびりおやつタイムが過ごせるのです。

 

お菓子作りに苦手なイメージがある方にこそぜひ、アレルギーではなくても、バター卵なしお菓子を試してみる価値があります!

マンスリーを家計簿に 浅倉ユキ『あな吉さんの主婦のための幸せを呼ぶ!手帳術』×藍玉『まずは、書いてみる』

しばらくご無沙汰していました。更新のない間もチェックをしていただき、ありがとうございます。ブログの構想を練っていました。

 

そんな考え事のとき、本当に頼りになる私の相棒がスケジュール×ノート×その他モロモロ…が一冊に納まったあな吉手帳!行き場のないとりとめのない考えも、このノートに書き出すことですっきり。生活になくてはならない大切なノートに育ちました。

(あな吉手帳についてはこちら)

スキマ時間を目に見える形に 浅倉ユキ『あな吉さんの主婦のための幸せを呼ぶ!手帳術』 - hon-nomushi’s blog

 

そんな相棒手帳にさらなる機能を追加。こちら(↓)の本で、「マンスリーを家計簿に」というアイディアがあったので、やってみました。

書く効能 藍玉『まずは、書いてみる』 - hon-nomushi’s blog

 

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去年準備した手帳がノートタイプだったので、好きなページに貼れるようマンスリーシールを購入していました。それを家計簿ページにはっただけ。あとは使った金額やものをちょこっとメモ。週ごとの集計もできるように、片側を少し開けて。

 

使い勝手が良いところは、カレンダーで管理することで自分の体調とリンクできること。月に一度の生理前は特に物欲が増すわたし。そのとき買ったものは衝動買いだったりして、あとから後悔することが多かったのです。

 

そこで危ない時期はあらかじめマーカーで印をつけておくことで、衝動がきたときに「この時期を終えてからもう一度考えよう」と、冷却期間を作ることができるようになりました。

 

こうして見直してみたら、月の中でお金をつかいたくなる時期がわりと決まっていることがわかりました。お金の使い方と体調をリンクさせて考えるので、「今、ものを買いたい時期にいる」と知るだけで、不思議と冷静になることができます。

 

人間なので、気持ちにリズムがあるのは当たり前のこと。そのゆらぎを必ずあるものとして素直に認めることで、かえって冷静に自分の気持ちとお金の使い方を見られるようになりました。

米粉の本研究はじめ 大塚せつ子『白神こだま酵母のお米パン』

 

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パンを家で焼くことにあこがれがありますので、本を持っています。でもいつも眺めているだけでなかなか作りませんでした。というのは、大好きなのですがパンを食べすぎると調子が悪くなるから…。以前この本を読んだ時も、小麦は食べすぎないほうがいいなと思ったのです。

 

hon-nomushi.hatenablog.com

 

深刻なアレルギーがあるわけではないのですが、小麦のパンを食べるとなぜか胃が持たれたり食べすぎてしまうことが多くて、手作りするならからだに負担のないものがいいなとずっと探していました。そこで思いついたのが大好きなお米の粉!米粉を使った料理についてしばらく調べてみようと思い立ち、このカテゴリーを作りました。

 

もともと米粉にはまったきっかけは、天ぷらや唐揚げ料理の時。米粉を使ったほうがからりとするので、いつの間にか小麦を使わなくなっていました。米粉なら地産地消にも貢献できますし、もっと米粉を活用したいなと思っていたので、パンへの興味と米粉が結びつきました。

 

いろいろと今後ご紹介していきますが、まずはこの王道食パンが焼ける本を。食パンを米粉でやけたらいいなと思っていたので、一斤焼けるこのレシピを見つけたときはとてもうれしかった。本当にノングルテンで、もちもちした、でも軽い食感のパンが焼けました。うれしいのは白神こだま酵母を使うこと。白神山地を訪れたときの美しさが忘れられず、あの場所の酵母ならぜひ身体に取り入れたい。

今回はおかゆ種をつかって。小麦のパンのような力を込めたコネは必要なく、静かに淡々と温度に気を付けながら混ぜていきました。

 

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カットしてみたところ。言わなければ米粉とわからない?パンが出来上がりました。耳はかりかりで中はふんわり。冷凍もできます。お米だからか、バターをたっぷり塗る気にはならず(合わなかった)、シンプルにトーストして食べるのが良いみたい。のりをのせて食べるのも合いました。ようやく家で作りたいパンが見つかりました。

 

本にはそのほか米粉のうどんなど、様々なレシピがありましたが、やっぱり一押しはこの一斤焼ける食パンレシピです。

 

 

マンガのような読後感 朝井リョウ『星やどりの声』

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新聞の書評を見て、装丁に惹かれて手に取った本。はじめてこの作者を知りましたが、一度目にしたら忘れない印象的なタイトル『桐島、部活やめるってよ』と同じ作者だったのですね(こちらは未読)。

 

最初に登場する人物が多く、読み始めは世界に入り込むのに少し苦労しましたが、読み進めていくうちに深くのめり込んで、一気に読んでしまいました。

正真正銘の小説なのですが、主人公たちの表情すら読み取れるかのような文章。まるでマンガを読んでいるような、背景すら具体的に思い起こせる作品。ここまで具体的に想像できる文章の小説は、なかなかないような気がします。そして「あと少しでやめておこう」と思う続きマンガを、一気に読破してしまうのと同じように、途中でやめることができませんでした。世界にはまり、一日ぼーっとしていました。

 

あらすじは海辺の町で四人兄弟+母が、亡くなった父の残した喫茶店を残そうと奮闘する話(かなりはしょっての説明ですが)。さわやかな風も感じるような、完成された世界の作品。季節にぴったりで、今出会えたことがよけいうれしい作品でした。

仕事がテーマでも 喜多川泰『手紙屋』×穂高明『むすびや』

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たまたま読んだ本が、就職に関する本でシンクロしていました。せっかくなので2冊同時にご紹介します。

 

喜多川さんの作品は読むたびに背中を押してもらうような、あたたかな力強さを感じます。穂高さんはこのブログでも何度もご紹介していますが、新作は必ず手に取る大好きな作家のお一人です。

 

今回喜多川さんの本を手に取ったのは、ある方のメルマガで名前があがっていたことがきっかけ。急に読み直したくなり、手に取った最初がこの『手紙屋』でした。就職活動に悩む主人公は、行きつけの変わった喫茶店で「手紙屋」という広告を発見。そこから手紙屋との文通を通して、大きく成長していきます。装丁も美しくて、シンプルでまっすぐな言葉がつづられています。とてもすがすがしい。

一方『むすびや』は、就職に失敗して実家のおにぎりやを手伝うようになった少し気の弱い主人公が、自分の失敗をもんもんと抱えながらも、実家のおむすびのすごさに気づいていく物語。丁寧に主人公の気持ちを追ういつもの穂高さんのテイストは変わらず。気の弱い主人公だけれどもつい応援したくなる、温かいまなざしが感じられます。

 

どちらも予期せず同じ就職や仕事というテーマだったので、仕事のことや生き方のこと、たくさんヒントをいただきながら読み進めました。どちらの本でも共通して感じたのは、主人公たちが一人で問題に立ち向かっているようにみえても、実は多くの人に助けられているということ。きっと自分もそうだったろうと思うのですが、そのときは必死で気づけなかったな。

こうして本を通して自分の体験を見ると、もう終わってしまった今だからこそ気づけることがたくさん。たとえテーマが今の自分と離れていても、前を思い返すことでヒントをもらって、今の自分が充実していく気がします。