hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

夏の休暇はこの作品 リンドグレーン『わたしたちの島で』

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夏になるとスイカやとうもろこし、枝豆を味わうように、夏の読書に欠かせない作品。

 『わたしたちの島で』。

 

わたしが作者リンドグレーンを知ったのは小学2年生。やかまし村シリーズが大好きになったとき、初めて作者や舞台となった国を知りたい、と思ったのです。それから何冊も何冊もリンドグレーンの作品を読み続け、スウェーデンという国は深く私の脳に刻まれました。同時に翻訳という仕事について、知るきっかけともなりました。

 

最愛のリンドグレーン作品の中でも長編であるこの作品は、小学校高学年に初めて手に取った気がします。読み返すと面白いのは、いつでも新しい発見があること。子どものころは幼い主人公たちに感情移入をして、今は大人の主人公に感情移入をして、いつだって自分の気持ちに寄り添う主人公を見つけられるのが、この作品のチカラだと思うのです。

 

母親代わりのお姉さんマリーン、子どものようにDIYはことごとく失敗する小説家の父、3人の男の子は、夏の間ウミガラス島に別荘を借ります。そこで出会う大人のような子どものチョルベンや、近所のやさしい人たち。様々な騒動が描かれていますが、子どもも大人もこのウミガラス島に魅せられて、いつしかここを生きていく場所に選びます。

今回は心の中からあふれる夏への想いが強く心に残りました。いつだって読み終えるたびに静かな感動を感じ、この本に出会えたうれしさでいっぱいになるのです。いつか本の中のように、全身で季節を感じるお休みを過ごしてみたいです。 

 

着ることも本で学ぶ mucco『ケチケチ贅沢主義』

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今日はめずらしく「装い」に関する本を。

現実の私を知っている方も読んでくださっているので、ブログに「装い+美しさのこと」というカテゴリーを作るのにすごく抵抗がありました。何となくおしゃれをよく知る方だったり、本当におしゃれが得意でいつも素敵な方だけが、ファッションを語る資格があるような気がして。

 

でも洋服を着ることも、特別なことではなく、実は生活の一部なのですよね。

食べること、住むことと同列に、人は着ることとずっと一緒に生きている。だとしたら「苦手」と切り捨てて考えないようにするのではなく、もっと着ることを自分の味方にしよう、と思ってここ数年を過ごしています。

 

頼りになるのはやっぱり本。雑誌も良いのですが、自分を表現する手段として装いを活用するには、その時期の流行が入りすぎているのです。参考にするためには、長期的な視点で装いについて書かれている本がたよりになります。

 

タイトルにある「ケチケチ」とは、FP(ファイナンシャルプランナー)でもある著者が、普段の生活と切り離さずに、お金も含めたファッション論を展開してくださっていることを表しています。収入の全てを被服費に充てないと素敵な装いが不可能な雑誌の洋服たち。それらはやっぱりある程度の収入や、被服費に重点を置く方に偏っているように感じます。

 

ですがmuccoさんは、「生活の中での被服費」という視点をしっかり保つ必要性を語ってくださっています。おかげで、それまで切り離されていてどう考えてよいかわからなかった、お金と被服費の考え方がとてもクリアになりました。ライフプランの中にある装いという視点、これはなかなか雑誌には載っていない考え方です。

 

そして装いはまさに頭脳戦でもあると思いました。

長期的に大切にしたいものには投資をする⇒そのために予算を組み、貯める

自分に似合うアイテムを知る⇒客観的に自分を知る必要がある

お金の知識、自分への知識、TPOを考えられるやさしさ。

 

こう書くととても難しく感じるけれど、だからこそのチャレンジ。いつか自分のクローゼットすべての洋服が自分を応援してくれるようなアイテムで満たされていることを考えたら、とても幸せだと思うのです。想像するだけでなんだかうれしいゴールが、自分の中で決まりました。

とはいっても、あせらずゆっくり。たくさんの本に助けられながらクローゼットを構築していきます。装いとお金、どちらも学びたい方にぜひおすすめの一冊です。

 

 

 

 

 

 

 

ルーツを探る冒険 ケイト・モートン『忘れられた花園』

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書店で文庫が並んでいるのを見て、吸い込まれるように魅せられた作品。初めて出会ったケイト・モートンの物語をご紹介します。

 

本との出会いは人との出会いとよく似ていると思います。たまたま出会った人と親友になることがあるように、 思いがけず手に取った作品に深く魅せられることがあります。この作品ともたまたま最近書店で見かけてからというもの、頭から離れなくなりました。

 

まずは何といってもタイトル!『秘密の花園』が大好きで、朝5時から真似して庭に球根を埋めていたわたしにとって、「~花園」というタイトルに目を捉えられました。

そしてなんと翻訳のなめらかなこと! 3人の主な登場人物の姿が、時代を変えながら次々と描かれているので、ついていくのがやっとのストーリー展開。ですが文体の読みやすさもあり、流れに乗るように読書が進んでいきました。そのうち3人の関りが明らかになり、なぜこの3人が主な登場人物なのか、おぼろげにわかってきます。そうするともう止まることができなくなり、かなりの夜更かしをしながら読み切りました。

 

主人公のうちの一人、ネルは自分が港に捨てられていた存在であることを、ある誕生日に育ての父親から告げられます。もう一人は、ネルの孫。ネルが亡くなってから、自分にイギリスの家が相続されていることに気が付きます。

物語はネルが自分の親を探しに、イギリスに渡るところも描かれていきます。本当の自分の名前は何か、本当の両親はどこにいるのか。ネルが探るのと同時に、そのときは誰かわからない、もっと昔の時代の登場人物が現れます。そうしてルーツを探る旅に読者も巻き込まれていきます。

 

ところが物語が進むにつれて、自分の本当の名前を知ることが第一なのではなく、親を発見するだけではなく、その人が生きた道そのものを知るという冒険になっていきます。静かだけれど確かな人生の歩みがしっかりと記されて、そして現代を生きる主人公の生きる力につながっていました。深く味わい、何度も読み返したくなるラストでした。長いお休みにぜひおすすめの1冊です。

 

そしてもう一つ。表紙をみて何か見覚えが、と思ったら、桑原弘明さんのスコープでした。数少ない自分の本の中に作品集が。小さなものに目がない私には宝物の本です。こんなつながりをどこかでキャッチして、作品に惹かれたのかもしれません。 

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じぶんに合う方法で づん『書きたくなるお金ノート』

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このところ、せっせと家計簿を書いていました!というのもこの本に出会って、手書きの家計簿の良さを体験したくなったから。づんさんの本を知ったのは、新聞の広告で。「書きたくなる」というタイトルにすごく惹かれました。

 

今我が家の家計簿は、

Excel管理(予算管理、家のローン詳細、銀行の詳細など)

手書きの家計簿(食費、雑費、レジャー費のみ 残高把握用)

家計簿は手書き?PC? 横山光昭『脳タイプ別ハッピー貯金生活』 - hon-nomushi’s blog

で成り立っています。

 

普段の買い物については手書きの家計簿をさっと出せば済むのですが、たまに発生する医療費、子ども費などはPC上に記入するようにしています。そうするとPCを開くことが必要になりますが、わざわざその時間を作らなくてはいけないなあと使いづらさを感じていました。あとはなぜかPC上に記入すると、把握ができたような、できていないようなもやもやが。私の脳は書くことでようやく把握していくようで、Excel上だとなぜか実感を伴えないのです。

 

そんなわけで「書きたくなる」づんさんの家計簿にとても惹かれたのですが、やり方はとてもシンプル。お給料から固定費、貯蓄を引いて、それ以外のお買い物を毎日レシートのように記入していくだけ。市販のノートに線を引くシンプルなスタイルなので、わざわざ特別なものを購入する必要がありません。

 

づんさんの場合は食費と雑費、そのほかの出費もお財布の中からやりくりしているようで、シンプルに使った金額を詳細とともに書き、お財布の残高と照らし合わせていく方法でした。

 

好きなノートを使うのでカスタマイズもしやすいし、自分が把握したいものを別ページに書き込むことができるところがとても使いやすそう。早速真似をしたのが、積立貯金の詳細(何歳で¥〇貯まる)ページを作ること。貯蓄も何となくしているのと、「〇歳で¥〇」とあると全く達成感が違います。せっせと書いてみたら、毎月の積立詳細がすごくよくわかりました。たぶんExcelではなく、書いたことではっきり把握できたことが一番よかった。そして、これがこの家計簿の肝なのだと思います。

 

ほんとうに「書きたくなる」気持ちがむくむくわいてきて、結局PCに書いていたこともノート管理に移行しつつある我が家の家計簿です。あまりに楽しくて書き続け、はっとすると数時間経っていることも(笑)…。

 

書きすぎには注意ですが、なんだか家計簿をつけているのに、お金の流れが合わなくてわからなくなってしまったり、混乱されている方にお勧めです。一見細かく見えますが、やり方がシンプルなので実は家計簿初心者におすすめの1冊です。

 

 

 

今日の片付け 絵本をととのえる

恥ずかしながら、Before映像。2階収納のいちスペース。

もともとは押入れで、クローゼットのようにリフォームしていただいたところ。奥行き27cmの可動棚がついています。寝室の収納ですが、意図せず子どもの本棚としても使われることになりました。子ども自身、寝る前に読む本とその他の本が自然と分類されているようで、寝るときに読みたい本が2階のここに集まっています。

 

それにしても、ぐちゃぐちゃ…。本棚として作られたスペースではないので、しな垂れ落ちる本たち…。それに絵本は大きさもまちまちで、小さな目立たないブックエンドでは全く本を「立てる」役割が果たせていませんでした。

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そこでめずらしくグッズを購入。

アクリル仕切りスタンド 3仕切り・約268×210×160mm | 無印良品ネットストア

を間仕切りのように入れました。

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横からの写真だと仕切りが分厚く思えますが、実際に入れてみると透明なせいか、全く目立ちません。一番はし(向かって右)も少しスペースを開けて置くことで、長い本も難なくおさまりました。仕切りがしっかりしていて、本がすっきりおけました。

 

普段は収納グッズをほぼ買わないので長いこと迷っていましたが、毎晩毎朝げんなりするより、すっきりすることを優先。本棚の役目が終わったら、引出の中でタオルを立てたり、冷蔵庫整理にも使えると思い、決断しました。ちなみに仕切りは上の写真の状態ではなく、出し入れがスムーズなように縦で使っています。

 

本が倒れずに収納できるので、小さな本や薄い本も迷子にならずにすみそうです。

出すのは子ども、戻すのはわたしたち。しばらく様子を見てみることにします。それ用のスペースではないものを収納するとき(今回の場合は本を収めるスペース)は、収納グッズがあった方がすっきりすることがあるようです。

(After)

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ほーと納得! ジョン J.レイディ『脳を鍛えるには運動しかない』

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暑い夏がすでにはじまっていて、ばて気味なのに運動の本を読んでしまいました…。この本を読んだら運動をするしかないと思い、シューズを買ってしまいました。

 

確か新聞の書評を見て読んでみたい!と思った一冊。思ったより専門用語が多いのと、翻訳そのものの文章だったのでなかなか手ごわかったですが、読んで良かった一冊です(専門用語は後ろに説明がまとめられていることに、あとから気付きました)。

 

冒頭はアメリカの学校で朝いちばんの運動を取り入れたら、生徒の学習能力や落ち着きが増した例が挙げられています。それを脳と体の関係をリンクさせた研究結果や、改善したらどうなるかを科学的に分析しています。

 

ADHDやPMSの改善に運動が有効である例もたくさん挙げられていました。専門的な解説を交えながらも、自分の不快な今の症状にどれだけ運動が役に立ち、改善していくかがよくわかります。不快な症状を変えるために役立つ運動のしくみを、専門の方にも普通の方にもわかりやすく書いてありました。おかげでちょっとボリュームのある本ですが、読み切ることができました。

 

脳科学について素人の私にもわかるように運動の効能を伝えてくれたおかげか、もはや運動するしかない(笑)!という気持ちに。続くかどうかは経過観察です…。

 

本とは関係ありませんが、運動の面白いシューズを手に入れたので、よかったらご紹介します。

ウィークポイントを知る片づけ わたなべぼん『ダメな自分を認めたら部屋がキレイになりました』

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久しぶりにミニマリストの本を。

わたなべぼんさんの本、2冊目。どうしてコミックエッセイはこんなにおもしろいのでしょうか。作者のイラストの力量で、まるで部屋の中を写真でみせてもらったような、実録お片付けの経緯がとっても面白かった!

 

作者はお部屋にパートナーと住んでいらして、日々なくしもの、ごみ、ほこりにまみれて生きていらしたそう。でもあるときふと片づけてみたら、その楽しさに目覚めどんどん片づき、今ではきれいな部屋にお住まいなのだそうです。部屋がきれいになる工程には、本当に心の見なかったことにしていたことも明らかになっていくのが興味深いです。

 

料理が苦手だから、と買い込んだ料理本が占拠する台所。

できないままの英会話の教材ばかりがたまっていく本棚(これは耳が痛いです)。

どうでもよい食器ばかりをつかい、引き出物でいただいた素敵な食器は箱に入ったままの食器棚。

 

人が自分をどう扱っているか、というのは部屋とモノを見ればなんとなくわかる気がしてくるこの頃。作者も大事な食器を普段使いし始めたら、部屋だけではなく気持ちも整っていき、自分も大切にできるようになっていきます。できないことはあきらめ、少しずつできる範囲を丁寧にやっていく作者の姿から、勇気をたくさんいただきました。

 

明るくてすぐに読めてしまうコミックエッセイですが、片づけと心の関係をちゃんととらえているこの本は、自分を大切にするというプロセスがたくさんこめられているのがわかります。すっきり、読後感がとても気持ちの良い1冊でした。