TV番組で「小さな村の物語」という、イタリアの小さな村に住む人々のドキュメンタリーがあります。
このTV番組は、映像の美しさと、いつも「知りたい!」と思う、けれどなかなか旅人では知ることのできない暮らす人々の日常を描いていて、大好きな番組です。今はなかなかTVをみる時間がなくて遠ざかっていますが、まさにこの番組がエッセイになったような、そんな作品に出会いました。
作者がイタリアの生活者であることから、この作品の中でたくさん素顔のイタリア人に出会います。その土地特有の気候や現象と一緒に、暮らしている人々の人生が描かれています。決して奇をてらうような人生ではないけれど、でも外から見たら波乱万丈にみえるような人生であったり、人嫌いであったり、どこかずれていて家族とすれ違ったり。
紀行文でもなく、ただ主人公の人生を追うだけでもなく、その合間を漂いながら心地よく読み進めて、イタリアを旅するよりもちょっと深く知ることができたように思いながら読み終えました。
人の人生を知ることはすごく楽しくて、それが美しい街や見知らぬ土地の人々だと、さらに興味がわきます。上質なエッセイでした。