この本は最近出版されたばかりの本ですが、
読んだときにしみじみ、
「ああ、わたしが留学する前に出会いたかった」
と強く思いました。
わたしが留学したのは10数年前の大学院生の頃。
ちょうど30歳になるころでした。
高校生、大学生の頃は金銭的にも留学をするのが難しく、
自分にはあまり縁のないことでした。
でもいつか、ということはずっと思っていて、
大学院に進んだのも留学をどこかに思い描いていたからのことでした。
それから望んではいたものの、希望していたカナダへの留学はなかなか難しくて、
学費がほぼかからないフランスへの留学が急に決まったのです。
フランス文学科にいたので、そこに留学している人はたくさんいたのですが、
わたしはフランスに行くのは初めて。そして初めて行く国に住むことになるとは、
思っても見ませんでした。
1年という期間を知らない土地で暮らすこと、29歳で初めて1人暮らしをすること、
もう大人といっていい年だったけれど、
準備に戸惑ったことを昨日のように覚えています。
本の内容に戻りますが、
そのころ戸惑ったことがほとんど、この本に書かれていることに
読んでびっくりしたんです!
例えばエコノミーの席はどのような感じで、何が必要か。
持ち物で優先すべきもの。
海外の生活で一番必要な事。
日本の安全は、日本だけのこと。
生理用品の補充の仕方。
海外の生活では、100%を目指さないこと。
ああ、本当に、留学の時に知りたかったなあ。
特に印象に残ったのは、国際的な仕事に長くついている方が、
大学生の「海外で活動していくのに、一番大切なことは何ですか?」
という質問に、
「自分で食べたいものを自分で作ることができることですね」
と答えたというところです。
これは自分の経験からも本当にそうで、
留学する前に1年新米主婦として家事をしていた経験が、
役立ったことを思い出しました。
始めは物珍しさもあってフランスの食事をおいしく楽しんでいたのですが、
やっぱり3食外食をすると胃の疲れがたまってくるし、
お金も足りなくなってきたのでした。
そこで1食でも自分で作るようにして、簡単な冷凍も使いながら
お弁当も持って行くと、
体調も整うし楽に暮らせるのを実感したことがありました。
基本の生活をちゃんとできる人は、
色々なことを乗り越えて行けるのだなあ。
我が子にも少しずつ家事を伝えていこうと、強く思いました。
「そんなことが大事なの?」と思うような小さなこと、
海外の生活で大切な事を余すところなく書いてくださっていることに、
本当にこの本のすばらしさがあると思います。
今はまだ海外との断絶は続いていますが、
きっといつかまた自由に行き来することができるようになるはず。
ぜひその時、近くに留学される方がいらしたら、
この本をおすすめしてみてください。