hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

石垣島へ① 小川糸『ようこそ地球食堂へ』

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3月の頭に石垣島へ初めて旅をしました。

きっかけは家族が「星を見たい」と言ったことと、都内のマルシェで石垣のおいしいもずくが売っていて、それがとってもおいしかったから。

 

沖縄には10年前に行ったきり。暑いところよりも寒いところばかりに旅行する習性があるせいか、あまり行き先が「海!」「ビーチ!」がテーマにはならない我が家。めずらしく南国に行くので、どこに行こうかなとリサーチしました。

 

そういえば小川糸さんのエッセイに石垣島のことが書いてあったなあ、と思い出し、こちらの本を再読しました。『ようこそ、地球食堂へ』。

タイトルを読むだけで「わたしたちは地球に生きているんだ」と、視点が一気に変わる魅力的な本。冒頭が今回の旅で訪れた石垣島の辺銀食堂について書かれていました。

 

食べるラー油の元祖である「石垣島ラー油」。この製造元が辺銀食堂で、何となく名前だけは知っていましたが、からいものがそんなに好きではないので、口にしたことはありませんでした。

本には、辺銀食堂の食材を集めるところから描かれていて、島の食材を大切に扱う様子にとても惹かれました。ぜひ食べてみたいと思ったので、旅のメインは辺銀食堂に決定。ディナーは完全予約制なので、早速予約。

 

本にはそのほかも単なるその場のおいしいだけではないお店がたくさん紹介されていました。おいしいものが生まれる背景も味わい、大切にそれをたどる旅。普段から作者がどれだけ食べることを大切にして生きていらっしゃるのか、しみじみと味わいながら読み進めた本でした。

 

石垣島旅日記は次へつづきます。

今の自分に合わせて備える「もしも」 つながる.com『子連れ防災手帖』

f:id:hon-nomushi:20180319120129j:imageいつか、いつかと先のばしになっている「もしも」への我が家の備え。

ちょうど1週間前に3月11日でした。

あの時東北で何が起きていたのか。何に困ってどうしていたら良かったのか。

この本に出会って「初めて本気で震災に備えなければ」と思いました。

いえ、今までもいつもどこかにひっかかっていたのですが、必要なものがはっきりわからないことで後回しにしていたのです。

 

「例えば今日、あの日のように震災が起こったら?」

そう考えてみたところ、「水と食べ物のストックがないこと」が一番に困ることとして思い浮かびました。我が家には大人並みに食べる4歳の子どもがおり、子どもは災害だからといって食べ物を我慢することはできません。小さい子のいる家庭では、水と食料確保はまず第1に必要のよう。

 

その次は、情報。

テレビが見られずスマホの充電もままならなくなったとき、情報を得られずに不安だった方がたくさんいらしたことに驚きました。

そして本を読んで驚いたのは、地震の被害があまりに大きすぎたために、ライフラインがすぐに復旧しないということが想像外であったということです。

地震の後、子どもを引き取りにいった保育園で「来週くらいからは園に通えると思うのですが」という会話がなされていたこと。あまりに甚大すぎて、いつもの普段がすぐに戻ってくると多くの方が思っていたことを知りました。

それに必死で水を確保するために雪をためていたら、変な人のように見られたという報告も。その後水は本当に貴重品になり、雪を溶かした水が本当に大切になったということも書いてありました。

ラジオ、手回しのものを普段から使えるようにすることが大切のようです。

 

 我が家が今もしものときに、必要なもの。 

1 食べ物の確保

2 水の確保 仮設トイレの準備

3 情報を得るための手回しラジオ LED付充電器

 

今まで漠然としていた備えるものと必要なものは、本の状況に自分を重ねたとき、どんな備えが必要かと考えることでようやく具体的にわかりました。

あの場所で何が起こっていたのか、本を通じて知ることができて本当によかった。お子さんがいる方にぜひ読んでみることをおすすめします。 

 

毎日のことをバロメーターに 益田ミリ『前進する日も、しない日も』

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わたしが家事の中で一番苦手なもの、それは洗濯。多い少ないが日によって違うことや、日によってモノが違うので、予測できないところが苦手ポイント。

 

「取り込んでたたむ、しまう」がわたしの担当ですが、あまりに多いと息苦しくなってきます。たいてい、しまう場所別に洗濯を取り込むのですが、それがすんなり分類できないときや、しまうときに家族の引き出しがぐちゃぐちゃになっていると、絶望的な気分になります。洗濯物で絶望するときがあるなんて…はい、そんな時はたいてい疲れているのです(笑)。だいたい毎日することなので、洗濯のときの気分がわたしのバロメーター。苦手な家事だからこそ、そこで不調に気付くことができるようになりました。

 

疲れていることに気付いたら、ちょっとぼーっとしたり、もちろん本を読んだり。そんなコンディションの日にたまたま図書館で、この本を見つけました。なんとまあ、疲れた気持ちにぴったりなタイトル!そして表紙のイラストにも心をひかれました。

 

とりたててすごいことが起きるわけでもない日常だけれど、なぜかミリさんのエッセイを読むと面白いことのようなのです。怖いことや特別なことが起きないので、身構えて読む必要がなく、疲れている心にはぴったり。なのに最後には心に残る文がいくつもあるのがミリさんのエッセイの素敵なところ。

 

いつものように、読み終わるころにはすっかり元気になって、明日するまで洗濯のことを忘れて。やる気のないときにも寄り添ってくれるエッセイがあって幸せでした。

 

 

今年も生活にちいさな革命を マグちゃん洗剤

今年も暮らしは少しずつ変化しています。f:id:hon-nomushi:20180109120725j:image

去年の年末いつもの食材宅配広告に、マグちゃんの広告が入ってきました。

気になっていたこともあって、早速注文!届いてみると「これが洗剤?」と思うものが入っていました。

 

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約13cm×10cmの小さなマグネシウムの入った袋を、洗濯機の中にぽん、と入れるだけ。これが洗剤。繰り返し1年ほど使えるものなので、洗剤のストックが不要。柔軟剤ももちろんいりません。ただ入れて、洗って他の洗濯物のように干すだけ。梅雨時もにおわないそう(これからの梅雨に実験してみます)。そして使い続けることで、洗濯槽や洗濯ホースも徐々にきれいにしてくれるそうです。

https://magchan.com/products/detail.php?product_id=7

 

マグちゃんを使ってみて、驚いたこと。ただ洗濯機の中に入れるだけなので、誰でも簡単に洗濯ができます(普段洗濯をしない人にとって、洗剤をどのくらい入れればよいかを考えるのは結構ストレスだそう)。

洗剤のかさばるストックを買う必要もありません。

使わないときはぽんと置いておくだけ。

そして使い終えた後は…中身を庭にまいたり鉢に入れると植物の肥料になるそうです。

これは…小さな確かな革命!そしてミニマム!

 

「環境を大切に!」というのは簡単ですが、「実際に何をすればいいの?」と思うとなかなか思いつかないもの。でも日々の生活のなかに、もっと人にも地球にも優しい選択を積み重ねていくことができたり、排水溝ときれいな海がつながっていることに多くの人が気付いたなら…。きっとそれこそ、今一番必要な確かな革命なのだと思います。

でもマグちゃんが素敵なのは、環境に興味がなくても「楽にきれい!」なお洗濯であること。一般の方や洗剤を買いに行くことが大変な方にこそ、マグちゃん洗濯がもっと広まったらいいな、と思っています。

 

1つだけ…マグちゃんの洗濯では絹、ウールなど動物性衣類は避けたほうが良いそう。

Q:洗濯ベビーマグちゃんは、絹製品には使用できませんでしょうか。 | EMJ店長ブログ

我が家では絹、ウールには引き続き「海へ」を使用しています。

hon-nomushi.hatenablog.com

 

 

今日の片付け わたしが手放せなかったもの

なんでもポイポイ捨てているような印象だと思いますが…わたしにも捨てられないものがあります。

 

最近まで手元にあったNHKの語学教材。なんと2010年のものでした…。

このころもう一度基礎を見直そうと思い、意気込んで1年分CDと教材を買ったものの…何度トライしてもどうしても使いこなすことができず、8年も経ってしまいました。CDもあるので2010年に終わらせる必要がなかったことも、教材が長く動かず本棚に居座る原因となっていました。

 

f:id:hon-nomushi:20180302101951j:image今年、あらためて取り組もうとしてみたのですが、やっぱりわたしには合わないよう。「何度やっても挫折するものは手放そう」とようやく思えるようになって、CDもまとめて処分しました。代わりに1冊文法の本を選んで、それを徹底的にやってみることに。語学教材はどうしても本棚にたまりがちだと、断捨離のやましたひでこさんが良くおっしゃっていますが、全くその通り。8年も手元にあったことに驚きました…。手放したら「取り組む」ことをしなくてよくなったのでほっとしたせいか、気持ちもすっきりしました。

 

でも不思議と、もっと早く手放せばよかったとは思わなかったのです。今年再び取り組んでみてようやく合わなかったという結論が出せたので、それまでに無理やり手放していたらすごく後悔したと思うのです。自分の気持ちが納得するまで待ったことが、この片付けには大切なポイントでした。

 

片付けは急いでぱぱっと決断できるところと、そうでないところが誰でもあると思います。わたしにとって語学の教材がすぐに手放せないもの。でも納得できるまで持ち、活用できるか問い続けてみることで、ようやくいつも大切にしたい1冊にしぼることができました。そんな風に時間をかけることで、大事にしたいものがわかることもあるなあと実体験から納得。

 

「すぐに捨てられないものもある」、そんな風に自分の気持ちを認めることも大切。それに気が付いたら、もっと片付けやすい別のところから取り組むなど、自分にやさしい片付けにつながりそう。

 

ついでに…便利だと思って買い、結局使わなかったみどりのマーカーと赤いチェックシートも処分。みどりの線でひくと、本が見にくくなって結局使わずじまい。赤いシートは3枚もとってありました…。やはりわたしにとって片付けにくいものは学習教材&グッズのようです。

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すべてを1冊のノートに Emi『わたしらしさを知るマイノートのつくりかた』

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整理収納の本が大好きなEmiさんの新刊、書くこと研究(?)が大好きなので迷わずタイトルを見て手に取りました。

 

Emiさんは仕事を始めてから、ノートにすべてを書くことにされたそうです。仕事のことだけではなく、日々のことや雑誌で良いと思ったコーディネートもすべて1冊に。お子さんが産まれてからは、お子さんの体調などもすべてメモされているそうです。

 

Emiさんのマイノート、大事なポイントは、

ーとにかく何でも、このノートに書いておく

ー何で良いと思ったのか?自分の感情まで書いておく

ー見直す

ということだと思いました。

 

「何でもここに書いてある」ということは、これさえ見ればわかる、という安心感につながりそう。そしてノートをわざわざ項目で分けないので、ひらめきも心の揺れも「これさえあれば!」遠慮なく書きとめておけます。

「何で良いと思ったのか?」を書いておくことで、自分が見直したときに、その時期の自分の気持ちと向き合うツールになるのです。

そして「見直す」こと。これが一番大切とEmiさんもおっしゃっていましたが、とにかく書きっぱなしにせず見直すことで、自分がその瞬間何を考えて、何を大切にしていたかがわかるからです。

そうして日々積み上げた瞬間を逃さずにいたからこそ、Emiさんは整理収納アドバイザーの範囲を超えてお仕事をされているのだなと思いました。

 

この本の最後に、マイノートに初めて取り組んだ方の実例が掲載されているのですが、それが本当に参考になりました!Emiさんのアドバイスが的を得ていて、「こんな風に日々ノートを生かすのだな」とすごく腑に落ちました。このページがとってもわかりやすかった!

 

Emiさんのマイノートは、何でも受け止めてくれる相棒のような存在。ノートとこんな付き合い方ができるのだなあ。

 

 

 

 

 

 

 

遠くて近い世界を味わう ローズマリー・サトクリフ『ケルトの白馬』

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イギリスを代表する児童文学作家、サトクリフのことは大学の児童文学授業で良く耳にしていました。でも元気な時や余裕があるときでないと、サトクリフの重厚な世界に押しつぶされそうで…。いまだに読破できていない、気になるけれどなかなか手にとらない作家のひとりです。

 

そんな印象だったサトクリフの作品ですが、この本は小さくて薄く、表紙の装丁に息づかいを感じたので、つい手に取ってしまいました。「よいしょ」と、読み始めるのに少し勇気がいりましたが、現実世界から隔離されることなく読める作品でした。

 

主人公はあるとき自分の人生の要となる描くことに目覚めます。ところが部族は戦争で囚われの身になり、自由を奪われた中で表紙の作品を作り出すことを求められます。

 あまりストーリーを説明すると中身が伝わりすぎてしまうほどシンプルな構成なのですが、物語が上滑りしないのは、主人公の芸術へのかかわり方がとてもリアルだから。シンプルな文章の中、主人公の存在や息づかいを感じるほど、作品を生み出すときの状況がつぶさに描かれていました。

 

実際にイギリスに表紙の白馬は存在するそうです。もちろんこの小説は創作で、なぜこの白馬が描かれたのかは謎のままなのですが、物語を読んでから訪れることができたら、もはや物語の背景なくてはこの馬が存在しえないかもしれない、と思ってしまいそうです。一度見てみたいなあ。イギリスにずっとあこがれていた子どものころ。そろそろ訪れてみようかな。

サトクリフを読み始めようとするわたしに、最適な一冊でした。