hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

あの日をいろんな角度から 穂高明『青と白と』

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3月11日のあの日を、強烈に思い出す本を読みました。

はじめの章の主人公は仙台出身の小説家の卵。東京に住んでいるのですが、家族は仙台に住んでいるという設定です。3月11日の地震を東京で感じた小説家の主人公は、すぐに東北の家族と連絡を取ろうとしますが、なかなか通じません。穂高さんの他の作品のように、章によって主人公が変わり、同じ出来事をほかの角度から見せてくれます。

 

この作品のすごさは小説家である主人公の住む東京と東北の温度差を書ききって感じ取れるようになっているところだと思います。そのずれは今だに続いているのだと思いますが、読んでいてとにかくはがゆさも感じました。当事者なのと、遠くで見守るのと、どちらのつらさも描かれていて、歯ごたえのある読書でした。

 

hon-nomushi.hatenablog.com

 

穂高さんの作品は、『かなりや』に出会ってから見かけると必ず読むのですが、どんな主人公でもどんな気持ちも、もらさず丁寧にくみ取っているところが好きです。無視されない心の動きをたどる読書は、とても安心させてくれます。この本の主題はとても重かったけれど、一読の価値がある読書でした。

 

 

肌にこそ知識をもって  『オーガニックコスメ厳選303』日本オーガニックコスメ協会 (監修), アイシスガイアネット (編集)

www.amazon.co.jp

 

本自体がもう手元にないので、リンクでご紹介します。

みなさんはどうやって化粧品を選んでいますか? 化粧品ほど選択肢がたくさんあり、イメージ先行で選ばれているものはないような気がしています。

わたしも本当に、長いこと様々な化粧品をつかってきました。何となくイメージでよさそうなものから取り入れはじめ、有名コスメ批評家のお勧めするブランドを使ってみたり、ネットで評判のものを使ってみたり。色々変えていた理由はすごくシンプル。かなりの敏感肌だったので、反応がでないものを取り入れていただけでした。そして、敏感肌用と書いてあると、何となく安心したものでした。

 

30代を目前にしたころ留学することが決まり、渡航先にどんな化粧品があるのかわからず、わたしはかなりの化粧品を輸送で持ち込みました。一年分。(本当にもったいなかった…。)

 

その後帰国して生活が変わり、いろいろなものを見直していたとき、ふと思ったのです。食べ物をいろいろ変えてきたけれど、肌につけているものについては何も知らない。「化粧品も入っているものを知って、イメージではなく選べるようになりたい。」そしてこの本を探し出しました。

 

本を読んですぐに手元の化粧品をチェックしてみると…ショックだったのは、肌に良いと思って輸送までした敏感肌の製品に、ことごとく避けていた方が良いものが含まれていたこと。自分が選んできた基準がいかに曖昧で、「肌によさそう」にどれだけ根拠がなかったかを思い知って、とてもショックでした。でもそれ以来、中身を必ず見てネットなどでも調べるように。自分の基準を知る、良いきっかけになりました。

 

食べるもののように中に入っている成分を知って、化粧品を自分の基準で選べるようになりたいと思ったとき、ぜひ読んでみてください。少し前の本なので、最新の情報についてはサイトもチェックしてみてください。

アイシス・オーガニック生活便【本店】|日本オーガニックコスメ協会公式オンラインショップ

 

 

 

なくしてよかったもの マット類

家に置かなくなってよかったもの。マット類はその一番にあげられるくらい、なくしたことが生活を楽にしてくれました。

 

以前はバスマット、トイレのマット、キッチンにもマットをしいていて、洗濯がゆううつ。他のものと一緒に洗いたくはないので、それだけ別に洗うのも面倒。でも汚れているだろうなと思うと、洗わないわけにはなあ…。ゆううつながら、解決法は特に考えずにいました。

 

そんなある時雑誌を見ていたら、何も置かないトイレが目に飛び込んできました。そこには「マットを置かないからすぐに掃除ができるし、わざわざ洗わなくても良いので楽!」と。ぴんときてすぐに試してみたら、本当に楽!キッチンも汚れが飛ぶ油物をするときだけ新聞紙をひいて代用。見た目はイマイチですが、特にマットをしかなくても問題ありませんでした。1週間ほど試して、トイレのマットとキッチンのマットを捨てました。2,3枚それぞれ予備を持っていたのですが、それも同時に捨ててすっきり。各段に掃除が楽になりました。

 

写真は唯一残っているバスマット。布ではなく珪藻土のものなので、洗う必要はなし。ただしたまに陰干ししてやすりで磨かないと、何となく汚れが目立つことが使ってみてわかりました。バスタオルで代用するアイディアもあるそうなので、壊れてしまったらその案を採用しようと思っています。

 

なくしてみてわかったことは、何となく「マットをしかなければならない」と思い込んでいたということ。実はなくて良いもの、楽なもの、意外とあるものです。特に自分が面倒だと思うことの中には、しなくてすむこと、しない方が実は気持ち良いことが含まれているのかもしれません。

 

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大切にしているからだのケア本 奥谷まゆみ『おきらく整体生活』

 

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手元に長いことあり、折に触れて読み返すのでもうぼろぼろ。大切にしているからだの本です。奥谷さんの本を読んだのは、妊婦の頃出会った『お産本』がはじめて(いずれご紹介しますね)。妊娠中おかしなものばかり食べたくなる自分に罪悪感を抱えていましたが、本に出合ってから気持ちがすっと楽になりました。

 

そしてこの本。作者の考え方がとても好きなのです。

ポイントは、

「健康が目的なのではなく、やりたいことのために健康でいる」

「身体にどんなものが入ってきても、それを出せるからだでいる」

というところ。そのころ「健康になること」に頭でっかちのわたしには、はっとすることがたくさん書かれている本でした。

 

季節のからだの変化、不調の時の症状別対処法も載っています。そして対処に家にあるもので対応できるのがうれしいところ。なにより「なぜその症状が出るのか?」をわかりやすく解説してくれるのがすごくよいのです。自分が不調の原因を作っているのがよくわかりますし、そうなったら次回の対処法もちゃんとわかります。

一家に一冊、心からおすすめのやさしいからだのケア本です。

 

 

苦しくないごはんづくり 土井善晴『一汁一菜でよいという提案』

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少し前になりますが、この本に出会って、一汁二菜の夕食づくりが楽しくなりました。

 

主婦として料理をはじめたころ、母が持たせてくれた料理の本は、小林カツ代さんの本でした。季節の野菜が何かもよく知らなかったころだったので、月1冊にまとまっていて、旬野菜がわかるこの本たちには本当に助けられました。一週間で同じ食材を使いこなす献立が載っていたり、参考になることばかりでした。たれやドレッシングも作り方が載っていたので、「〇〇のたれ」などに頼らずにいられたのも、この本のおかげです。献立はメインに一品が多く、我が家の基本は一汁二菜になりました。

 

その後、何とか理想(?)のような一汁三菜を目指そうとするものの、わたしにはあと一品のハードルが高く、もう一つを作れない罪悪感をずっと感じていました。

ちゃんと作っているけれど、何か足りないような気分。特に実家の料理がしっかりしていたので、いつも努力が不足している感覚がありました。

そんな時に一汁?しかも一菜で良い!というこの本に出会い、気が楽になると共に、長いことあった罪悪感も消えていきました。

 

土井先生の提案は、「ごはん、汁物、漬物」を基本に据える、というもの。汁物は味噌汁。「それだけでいいの?」という希望が最初はあふれてきましたが、同時にその基本の3つがどれだけ大切かが身に染みました。(土井先生は本の中で、歴史も含めてなぜそれが大切かを説明していらっしゃいます)そして、そのごはんの基本が、人を作っていく。

ふつうのごはんの偉大さを実感し、食べることと命のつながりを意識した読書でした。

 

今日の片づけ 片づけ1秒のおひなさま

もう4月ですが、今年新入りしたわが家のおひなさま。高さ2.5cm 横3cm。しまうときは下の台座にすっぽりはまる、ちいさなちいさなおひなさまです。

 

今年、知人宅にある小さなおひなさまの写真をみせていただき、あまりのかわいらしさに感動。ネットで探すと阪急百貨店で販売していることがわかり、大阪に出張中の家族がお土産として持ち帰ってきてくれました。

小っちゃなかわいい雛飾り | 阪急阪神百貨店・ライフスタイルニュース

 

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小さくて軽くてしまうの1秒。すべてがお気に入り。我が家は男の子ですし、お雛様を飾るのは子どものためというより、季節や伝統を感じるため。しまう場所もミニマムで済むし、片づけも楽、飾るのもすぐだから楽しい。

 

伝統的なお雛様の良さもわかるのですが、季節のものにあまり収納スペースをとりたくないわたしには、ノンストレスな大きさが大切。一年に一度のものは、出したり、しまったりの工程に慣れることがないですし、「時期が決まっている」というプレッシャーも加わるので、やることが複雑だと慌ててしまうのです…。ちいさいものがもともと好きなのもあり、我が家ではこの大きさがベスト。

 

大きなお雛様をお持ちの方には、こちらにいろいろな収納方法がのっていました。自分に合った気持ちの良い、季節の飾りとのお付き合いができるといいですね。

 

katazukeshuno.com

 

 

クリームティーへのあこがれ その2 小嶋いず美『至福のクリームティーの旅』

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前回の『スナックちどり』であこがれがつのり、クリームティーに即座に反応するようになったころ、こんな本を見つけました!うれしい。

作者がクロテッドクリームやティールームを体験しながら、イギリス南西部を旅するエッセイ。何とも至福の体験をさせていただきました。旅をしたことがないところは、写真がたくさん見られるだけでなんだか幸せです。

 

その中でも紹介されていたRodda'sのクロテッドクリーム、偶然にも国立にある大好きな葉々屋さんに入荷していると知り、スコーンと紅茶と共に購入してきました。国立は我が家から近いところではないのですが、幸運にも年に1度近くに仕事で伺う機会があり、そのときは必ずお店に立ち寄ります。

葉々屋-ようようや-

お店のレシピでチャイを入れると、本当に幸せ。自分がチャイを入れる天才ではないか(!)と、錯覚するくらいおいしいのです(もちろん、お店のレシピがすばらしいので誰でもおいしく入れられます)。ここの紅茶を入れるときは、気合を入れてしっかり分量もはかって、丁寧にお茶を入れます。いつもなら慌ただしいお茶を作る時間も、至福の味わいが待っていると思うと、焦らず丁寧にこなすことができます。

 

さて、肝心のクロテッドクリーム。思ったよりこってり感は少なく、スコーンのぽさっとした口当たりにまろやかさが加わって美味。本物の味がすぐ味わえて、好奇心も満足。本も、紅茶も、スコーンも!本のおかげで世界が広がり、幸せです。また買いに行こう!

 

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