hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

雨だから楽しむ読書 アン・M・マーティン『レイン』

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今年はなかなか雨が上がりませんでしたね。おかげで布団やらダウンやら、洗ってしまいたいものがしばらく和室に放置されていました。リサイクルショップに持ち込み予定の食器(ガラスコップ2、マグカップ1、ちょっと大きなお皿1)もずっと出せずにいましたが、晴れたのを機にえいっと出してようやくすっきり。梅干しも今日から干しました。

 

雨が続くと憂うつにもなりがちですが、ひそかな楽しみは自分で雨の時に聞きたい曲を集めた「レインソング・リスト」を聞くこと。そして雨ならではの読書を楽しむこと。この本は図書館に梅雨コーナーが設置されていて、そこで発見しました。

 

主人公は障がいのある女の子。決まったルーティーンや規則通りに動くことが好き。

趣味は同音異義語を見つけることと、素数を見つけること。気になることがあるとずっと気になるし、ルールを破っている人を見逃すことはできません。母のいない主人公にとって大切な家族の一員として、犬のレインとお父さんの弟がいます。その大切な家族であるレインがある嵐の夜にいなくなります。主人公は必死で探しますが、最後は意外な結末に…。

 

とても淡々と描かれているのですが、主人公の心の動きが手に取るようにわかって、苦しくなることも。そして周囲の人とのかかわり方も、少しずつ変化していく様子が静かな文章のなかで表現されています。強い表現はなにもされていないのに、主人公の変化の様子はよく伝わる描き方がなされているように感じました。静かに降る雨のように、存在感のある作品でした。

 

原題の"RAIN REIGH"も同音異義語。最後まで読んで表紙を見たときに、タイトルの意味に気付き笑顔になりました。英語のまま読むのも面白いかもしれない。素敵な雨の中の読書でした。