hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

読むファッション 光野桃『おしゃれの視線・私のスタイルを探して』

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おしゃれということについて、初めて意識したのは中学校のころ。雑誌のnon-noが愛読書でした。とはいっても、その頃は眺めるだけ。雑誌のアイテム、アニエスベーに憧れたり、色々な装いを見ても、自分とつながる装いはなかなか思いつきませんでした。

 

そんなただ眺めるだけの雑誌でしたが、いつも楽しみにしていたのは光野桃さんのエッセイ。当時中学生だった私にとって、ミラノで暮らす著者のエッセイは強烈な印象で刻み込まれ、ヨーロッパへのあこがれはさらに強くなりました。そのエッセイが『おしゃれの視線』という一冊の美しい本になったとき、手に入れて読んだ感動は忘れられません。美しい写真と装丁、文章の味わい。初めてファッションについてのエッセイが、こんなにも美しい本だったとは、なんと幸福なこと。特に引っ込み思案だったイタリアの女の子が、自分だけの美しさを見つけた話をはじめて読んだ感動は、今でも鮮明に覚えています。

 

その光野さんのエッセイが、時を経てもう一冊の大好きな作品『私のスタイルを探して』と一緒に一冊の文庫になっていました。このスタイルはミニマムな本棚に完璧なボリューム。わたしの少ない蔵書の一冊になりました。

 

いつ読み返しても、いつも新鮮に「着ること」を考えさせてくれるエッセイです。まだまだ装うことに関しては悩むことが多いわたし。でもそっと寄り添い続けてくれるこのエッセイがあれば、その悩みの答えが必ずこの中にある、と思い、手元に置き続けています。

 

文庫も良いですが、機会があったら一冊だけの『おしゃれの視線』もぜひ手にとってみてください。写真の美しさにはっとする一冊です。