ずっと気になっていた本をようやく読むことができました。
映画にもなっている?タイトルと表紙に惹かれて選びました。
主人公が過去の出来事を回想しながら話が進むのですが、時代は戦争前、戦争中真っ只中のはず。けれども、家政婦の主人公にとって大切なのは世の中の流れではなく、雇い主の奥様とその息子。世の中の流れが戦争に向かっていた時代に、主人公の生活はずっと自分の大切にしているものだけを見て成り立っています。
目の前にあることを大切にしていたら、それからのうれしさ、悲しさが生活の中心になって、世の中のことは二の次になっていた。主人公の生き方は、外の情報が多い今の時代に、自分のことを大切にする生活の、大きなヒントなのかもしれません。
日々を大切にする。毎日同じような一日でも、細部に目を凝らすと大切にしているものが浮き上がって、やがてそれは一冊の物語になる。そんな風に感じた読後感が印象的でした。