hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

本と出会う時期 モンゴメリー『青い城』

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ずっとわたしの本棚にあるモンゴメリーの『青い城』。

小学生のころ、赤毛のアンよりもこのモンゴメリーの作品が大好きでした。

ちょうど4年生くらいのときに、読んでいたのを良く覚えています。

 

主人公は29歳。厳しい母親に愛されることなく、

貧しい生活の中でいつもおどおどと悩んでいる女性です。

物語の舞台では、29歳で結婚もせずにいることは、

本当に恥ずかしいことだったのだそう。

そこから劇的なストーリーが始まり、

主人公は自分の愛する人や幸せを当時の常識をものともせず

勝ち取っていきます。

 

今あらすじを簡単に追ってみても、4年生の頃のわたしが

この作品に夢中になるには、少し年代的に早いように感じるかもしれません。

けれども子どもの頃、家の中で自由がなく、親に言いたいことも言えなかった

わたしは、29歳という年齢はともかく、自分と主人公の多くを重ね合わせて

考えていたのだと思います。

物語の中で主人公がどんどん望みをかなえていく姿を見て、

4年生のわたしは、

自分にはできないことをしてくれた主人公のおかげで

心がすっと落ち着きました。

 

ちょうど教室でこの本を読んでいた時、

担任をしていた男性の先生に、

わたしの手元にあったこの本を無断で手に取られて、

「これはまだおまえには早いんじゃないか?」

と声をかけられたことを今でも覚えています。

 

何も答えずだまって本を手元に取り返したわたしですが、

今考えてみると、4年生の子どもだったわたしは、この本の主人公から

勇気をたくさんもらっていました。

それは、あの時期にこの作品と出会ったからこそ

生まれたハーモニーのようなもので、

本の内容が大人の読むものと判断した先生にはわからないものを

わたしは受け取っていたのだと思っています。

 

わたしにとってこの本と出会う最適な時間は、

4年生のあの時期だったのだと思います。

それは本と読む人の間にしか生まれない、

とても大切な特別なもの。

だれか他の人が、「早い、遅い」と判断するものではないはず。

あの時は先生に何も言えなかったけれど、

今のわたしならこんな風に反論するかもしれません。

 

肝心の本の内容があまりできなかったけれど、

読んですっとするストーリーなのは保証します。