時折、むしょうに大草原の小さな家シリーズを読みたくなることがあります。
それも、全部一気に初めから終わりまで。
どうやらその衝動は毎年あるようで、2年前も記事にしていました。
大草原の小さな家シリーズは、訳も装丁もいろいろなものが出ているけれど、
昔学校の図書館にあった福音館のものが一番好きで、
大人になってから全て揃えました。
その後の主人公ローラが大人に近づく年代の話は、
岩波少年文庫で読んでいました。
わたしが読んだときは鈴木哲子さんの訳で、写真の『長い冬』は
上下に分かれていたのだけれど、今出版されているものは谷口由美子さんの訳で、
1冊になっていることに気が付きました。
1冊になっている『長い冬』は今回初めて読んでみたけれど、
以前は感じた翻訳の違和感も少なくて、
一気に読み進めてしまいました。
途中でやめることが苦痛なくらい。
なぜこんなにもローラの作品が好きなのか。
大人になり、今の生活をするようになって
わたしなりの考えに至ったのですが、
ローラの作品では、
生活することが生きることと直結していることに
安心感を覚えるからではないか、と思います。
今の生活は誰かに、何かを頼らないと生活が成り立ちません。
家を作るのは、建築の人に頼む。
ベーコンは、買ってくるもの。
ローラの生活では、
家は近くの森から木を切ってきてお父さんが建てる。
ベーコンは豚を育てて、その後にさばいて、燻製にする。
生活が自分の手と結びついた先にあることを、
読みながら人は安心するのではないかと
思うのです。
今からそれらを取り戻す、だとか
昔はよかったというつもりはありません。
ただ、生活に自分の作ったことやものを加えることは、
心が満たされることと一致しているように思うのです。
きっとその当時はそうするしかなかっただろうけれど、
あまりに生活が自分の手から離れすぎた今、
かえって安心や充足を感じにくくなっているのではないかと
思うこのごろです。
だからこそ、ローラの物語を求める人が、
絶えないのだと思います。
なんだかあつく色々述べてしまいましたが、
一冊にまとまった『長い冬』、本当に素敵でした。
何度読み返しても面白い本と出会えて、
本当によかった。
ぜひぜひ、読んでみませんか?