しばらく暮らしが落ち着かずにいましたが、
毎週の図書館通いが戻ってきました。
新しい図書館に通うようになって見つけたのは、この『火守』。
それほど大きくもなく薄い本ですが、装丁の美しさにまずは目を奪われ、
そして物語を読んでみたら神話のような美しいSFで、二度心を奪われました。
主人公は愛する人の病気を治すため、命に関わる星の世話を
している火守のところへ向かいます。
そこで火守の仕事をつぶさに観察し、手伝い、愛する人の命を
助けようと試みる、という物語。
物語の細部にわたって1つも疑問がわいてこない、
この世界が本当にあるのだと読み手が間違いなく信じてしまいそうなくらい、
作者の頭の中に作られた美しく完成された世界を体験しました。
文字を読むのが苦手な方も、どうか手に取ってみていただきたい。
それほど、中の絵もすばらしいのです。
作り上げるのにどれほど時間がかかったことでしょう。
作者は中国の方。あまり中国の文学を読んだことがありませんでしたが、
この作者の他の物語も手に取ってみたくなりました。
SFの可能性を感じて、深く感銘を受けた一冊。
いつかこんな神話のような物語を書いてみたい。