『遠い水平線』。
この表紙とタイトルの装丁にひかれて、手に取ってみた本。
まるで写真集のような、美しい装丁に心が躍ります。
中身はアントニオ・タブッキというイタリアの作家の作品で、
とりとめのないような物語が展開していきますが、
でもそのあいまいさこそ、タブッキが表現したかったものなのではと
思う作品でした。
そしてやはり、翻訳の重厚さ、日本語の美しさを心から味わえます。
翻訳の日本語の美しさと、その向こうにあるイタリア語が
深く絡まり合っているような翻訳。
物語のすじ、というより翻訳の日本語の美しさを存分に味わえる作品
だと思います。