hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

須賀敦子の言葉を味わう アントニオ・タブッキ『遠い水平線』

        f:id:hon-nomushi:20230516061655j:image

『遠い水平線』。

この表紙とタイトルの装丁にひかれて、手に取ってみた本。

まるで写真集のような、美しい装丁に心が躍ります。

 

中身はアントニオ・タブッキというイタリアの作家の作品で、

とりとめのないような物語が展開していきますが、

でもそのあいまいさこそ、タブッキが表現したかったものなのではと

思う作品でした。

 

そしてやはり、翻訳の重厚さ、日本語の美しさを心から味わえます。

翻訳の日本語の美しさと、その向こうにあるイタリア語が

深く絡まり合っているような翻訳。

物語のすじ、というより翻訳の日本語の美しさを存分に味わえる作品

だと思います。