ネコ好き、イヌ好き、そんな人ならついこのマフラーを巻いた猫に
目が行ってしまうことと思います。
わたしは猫が大好き。今は飼ってはいませんが、
実家にいた時とっても大事にしていた猫がいました。
そんなわけで表紙を見て手に取ってみたのですが、
この猫ボブと飼い主のジェームズは実在の人物(とネコ)です。
薬物使用でホームレスだったジェームズは、ある時この猫ボブと出会い、
路上生活から一歩抜け出し、ホームレスの自立支援を行う
ビッグ・イッシューという雑誌の販売者になります。
そのあたりは前作に良く書かれているそうですが、
わたしが読み始めたのはこの『ボブがくれた世界』から。
こちらの作品では薬物中毒から完全に抜け出たものの、
その日暮らしの辛さを感じている主人公の姿が描かれています。
そして様々なチャンスを活かし、ボブとの生活を本にし、
本当の自立へと進む主人公の姿が描かれています。
本が出て、猫のボブと一緒にその日暮らしから脱却を試みるジェームズ。
それは本当に小さな一歩、一歩から始められた
自立なのだと、本を読むと本当によくわかります。
そしてその一歩一歩が、時に辛いものであったことも
たくさんのエピソードから想像できます。
主人公はすでに薬物中毒から立ち直ってはいるけれど、
壮絶な過去を持った自分から目をそらさずに、
自立へと進んでいくジェームズ。
かわいい猫に出会ったことでもたらされたシンプルなサクセスストーリーではなく、
猫によって励まされて、より良く生きていこうとする人の、
すばらしいストーリーでした。