hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

母を想う 齋藤 彩『母という呪縛 娘という牢獄』

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この本を小説だと思って予約をしていましたが、

実はルポタージュに近い作品でした。

作者は記者で、丹念に娘が母親を殺した事件の経過を追いながら、

なぜその結果に至ったのかにいて、

殺しにいたるまでの詳細に2人の生活を追って書かれたようです。

 

すごく苦しくなりました。

母親は娘の将来を決め、医学部に入ることだけを目的に

ひたすら勉強をさせる。

その合間には暴言と謝罪をさせるなど、

徹底的な母の支配がありました。

そして逃げられない。

いつまでたっても支配関係がかわらない。

苦しかっただろうな、本当にお互いに。

そんな気持ちが読んでいる間、

ずっと頭にありました。

 

わたしにとっても母との関係性は他人ごとではなくて、

小さい頃は習い事を徹底的にやらされていて、

その道のプロになることが将来の夢として決められていました。

そして母はものすごく厳しく、

母の機嫌は習い事練習の出来にかかっていたため、

ほんとうに嫌な思いをたくさんしてきたところがあります。

幸いわたしの家では途中でそこから抜け出すことができ、

母との関係は良いとは言えないながらも、

思春期は反抗ばかりして、わたしの方からもたくさん

傷つく言葉をかけていたから、

今はおあいこだと思っています。

だからといって全部許せるかというと、

そういうものではないんですけれど。

だから、母には複雑な感情があります。

 

こういう母娘の関係の本は、

読んでいて苦しくなることも多いのですが、

それでもなにかで出会って読むと、

苦しんでいる子どもはわたしだけではなかったのだと知って、

少し安堵する気持ちがあります。

それを、大人になったわたしが、

幼いわたしに伝えたいと思うのです。