わたしの本棚は決して大きいものではなく、
本を読む分量のわりに、蔵書はかなり少なめです。
それは、図書館を自分の本棚と思っているから。
でもその中で、本棚で不動の位置を占めているものが何冊かあります。
そのうちの1冊が、今日ご紹介する
『きかんしゃ1414』です。
恐らく小学生くらいの時に、習い事の先生のお子さんが
もう読まないと手放した大量の本をいただいたことがあって
その中にあった本ではないかと思います。
経緯はさておき、電車に興味などなかったわたしが
この物語にひかれ、手放さないでおいた理由は、
内容もさることながら、きかんしゃの石炭にチョコレートを混ぜるシーンが
強烈に記憶に残ったからだと思います。
「え、そんなこと?」と思う小さなその物語の一部を
読んだときに感じた充足感と、満足感。
これを忘れられなくて、本棚に君臨しているのだと思います。
物語の大筋はもちろん、そこに重点が置かれているのではなく、
小さなまちを行き来することにつかれた機関車が、
病気の妹を直すのに必要な魔法の花を少年と探しに行く話なのですが、
わたしの記憶に鮮明に残ったのは、
少年の母が機関車に旅のお礼を、
と燃料に混ぜたチョコレートのところだったんです。
食いしん坊だった私らしい記憶の仕方なのだけれど、
あの読書中、間違いなくわたしは機関車と同じように満たされたのでしょうね。
だから本の持つ力は、あなどれません。
古い本なので手に入るかどうかわかりませんが、
良かったらぜひ手に取られてみてください。
チョコレート以外の物語の部分も、本当におすすめですから。