この表紙の古びた感じ、写真でも伝わるでしょうか。
わたしが中学生の頃に買ったもので、もう20年近く持っている本です。
度重なる引っ越しにも耐え、本棚ミニマム化の嵐もくぐりぬけて
残っている力強い1冊です。
この本との出会いは不思議なものでした。
神奈川に住んでいた中学生の頃、祖母が亡くなって
急きょお葬式のために秋田に行くことになりました。
私、姉、父だけで電車を乗り継ぎ、
秋田に向かったのですが、
夜行列車への乗り換えの駅にあった本屋さんで
偶然見つけたのがこの1冊でした。
いくつもの外国の、様々な写真を見て、
大人になったら色々な外国に行くことができるんだ、
何度でも行けるんだ、
ということに衝撃を受けたわたし。
身近にこんな風に旅をしている人を知らなかったので、
外国に行くのが本当に特別なことだと思っていたのです。
本の中の美しい外国の写真を見て、
その全てを頭に記憶しておきたい、
いつかこの写真に写っている全ての国に行きたい、
そのためにこの本を手に入れようと思ったのでした。
あれから20年。
今までに訪れることができた国がいくつかこの本に載っています。
思いもかけず、外国に住むこともありました。
あの頃のわたしがそれを知ったら、なんというだろうと思うのです。
1つだけ確かなことは、
あの時に本を読んで感じた外国への強い憧れがなかったら、
わたしは今のように旅を愛して、
別の国への興味を持つこともなかっただろうということです。
1冊の本がこうして人の人生に影響を与えることがあるということを、
自分でも体感しているからこそ、
本が大好きでいて、飽きることがないのだと思います。