hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

いかめしい表紙の向こう側 K・M・ブリッグズ『魔女とふたりのケイト』

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時折図書館で、以前読まれたのはいったいいつなのだろう、

と思う本に出会うことがあります。

古びていて何年もそこにあるような本。

でも、出会って読まれた時には、

その人が一生その本を読んだことを忘れないような一冊。

 

この『魔女とふたりのケイト』も、そんな一冊でした。

わたしは図書館で借りて、ちょっと分厚さにしり込みして

期限ぎりぎりまで読み始めることができなかったのですが、

読み始めてみたら止まらなくて、一気に読み進めました。

 

舞台はスコットランドカトリックプロテスタントが争う時代を

背景に、魔女である母を持つケイト、そして領主の娘であるキャサリン

知り合い、魔女の母との対立や

母から逃れるために冒険する様子が描かれています。

魔女は良き人として描かれることもあれば、悪い人として描かれる

こともありますが、この物語では悪い人として描かれています。

この二人のケイトの冒険は、はらはらする展開ばかりで

まるで昔話の長編のように感じます。

そこに歴史的背景が絡み、キャサリンのお父さんが行方知れずになったり、

様々な出来事が物語を深く面白くしていました。

 

時々現れる挿絵はすべて版画のようで、モノクロなので

物語にマッチしていて美しいのです。

 

冬は長い、読み応えのある本を読みたくなる時期だと思います。

もし図書館などで見つけられたら、読んでみてください。