今年の4月から、小学校の図書館で仕事をしています。
できるだけ図書館にある本を読もうと思って、今まで知らなかった
作家の方の本も手に取るようになりました。
あまり読んだことがなかった高楼 方子さんの本に出会ったのも、
仕事先の図書館に作品があったからでした。
この美しい表紙の作品をどう紹介したらいいのか。
今読み終えたばかりで新鮮な感動があふれています。
主人公は中学生の男の子。
美術部の宿題で描きたい景色を探していると、
この表紙の家に出会います。
建物の持ち主のおばあさんは偶然にも
主人公のおばあさんと同じ病室に入院していたという縁があり、
主人公は家の持ち主である小谷津さんの家の片づけを手伝うように。
そこで過去に生きていた2人の魅力的な女の子に出会います。
現実なのか夢なのかというふたつの世界を行ったり来たりする
物語はたくさんありますが、
この作品がそこだけで読者を離さないのは、
主人公の景介が本気で2人の少女の1人に恋をして、
現実世界で生きることがままならなくなるほどだからです。
そのあたりの経緯がもう一人の主人公、
景介の幼馴染である晶子の目を通しても描かれて、
現実離れせずに幻想的な世界を楽しめる作品になっているのではないかと
考えています。
この年代の子どもたちらしい家族とのつながりや、
小谷津さんと二人の間に広がる人間のつながりを読んでいくと、
なんと豊かな物語なのだろうと思います。
絵も本当にすばらしいですし、装丁も美しいので
ぜひ手に取られてみてください。