hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

独特の読書感 津村記久子『水車小屋のネネ』

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単身赴任中の家族の家に行ったら、机上にこの本が置いてあって、

つい読み始めたら止まらなくなってしまいました。

日本の作家の長編はあまり自分で手に取ることがないのですが、

なんというか独特の書き方にはまってしまい、

最後までじっくりしっかり読みました。

 

まだ若い主人公は、母のパートナーが妹につらく当たるのを見て、

そして自分自身も短大への進学資金を勝手に親に使い込まれ、

妹を連れ、家を出て地方の住居付蕎麦屋さんの仕事に就きます。

そしてその仕事は水車小屋に住む、ヨウムのネネの世話も含まれていて、

ヨウムのネネとの関りを中心に、

その土地と深くかかわって生きていく姉妹の様子が、

数十年単位で描かれていきます。

 

きっとわたしはこの先作者の書く文章を読んだら、

すぐ見分けられると思います。

説明がしっかりなされているのだけれど、くどいほどではなく、

登場人物との距離感もまた、独特で特徴がありました。

作者にしか書けない文章なのだと思います。

 

この本と付き合っていたのは、とぎれとぎれに3週間。

実際読んでいたのは多分4日程度なのですが、

一度長崎の図書館に返却し、こちらで借りようと思ったら、

なんと何十人待ちの人気の本で、

もう一度長崎の家族に借りてきてもらったりして、

読み終えるのに結果3週間ほどたってしまいました。

7月のほとんどを「ネネ」と過ごしていたような気分です。

 

ネネを読み終わった時は、熊本でした。

図書館の人は、本がそんなに移動しているなんて

思いもよらないだろうなあ。

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