hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

再び今江祥智さん 今江祥智『大きな魚の食べっぷり』

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ブログを開設して3年がたったお知らせがきました。更新はマイペースですが、本は変わらずたくさん読んでいて、自分の記録のためにも続けていきたいなと思っています。いつも読んでくださる方、ありがとうございます。ブログから本とつながり、楽しい読書タイムにつながっていたら、これほどうれしいことはありません。もう一つのメインテーマ、生活も楽になったりしているといいな、と思います。

 

さてさて、ことあるごとに読んでいる今江さんの本。すべて読みつくしているつもりですが、いくつか取りこぼしがあるよう。それを発見すると宝探しが見つかったみたいな気持ちで、わくわくして読書しています。

 

『大きな魚の食べっぷり』、これはまず表紙がとても衝撃的な絵なのですが、モノトーンで描かれているためにあまりインパクトを感じませんでした。でも最後になってみるとこの絵の描かれている意味がわかるという。まさにストーリーも同じ流れで、読み終わった後の衝撃から、思わず書かれた年代をチェックしてしまいました。1988年にこんな結末を書いていたなんて…。

 

物語は財閥の長である曾祖父と孫2人兄弟の関係が中心に書かれているのですが、主人公の兄弟は小学生に上がったばかり。そこで初めて外の世界や、市井の人たちと関わります。お兄さんと弟は物事の対処が全くちがって、そのあたりを財閥の長である曾祖父は冷静に見極めて、跡取りになる人物を探り当てていきます。人の隠されているような一面を、それも小学生のころから見える面を冷静に探っていく作者の人を見る力を、架空の人物とは言え、怖いような気持ちで追っていきました。

 

最終的には読者にも予想できるような候補者が浮かび上がるのですが、そこで曾祖父の会社全体を揺るがすようなことが起きて…。それがもう、今の時代に起きていることを象徴するかのような出来事で、衝撃を受けました。しかも曾祖父の万能ぶりがつぶさに語られた後のその出来事の在り方が、なんとも絶妙で表紙の絵にマッチしているのです。

どうしても読んだ方に取っておきたい結末なので、歯切れの悪い説明になってしまいますが…。今だから読んでみる価値がある作品になっているのではないかと思います。

 

衝撃を味わったらぜひ一緒に語り合いましょう!この読書を誰かと分かち合いたくてうずうずしています。