hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

何でもない日常が小説になるとき レイモンド・カーヴァ―『大聖堂』

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ずっとずっと、名前は知っているのに読んだことのない作家はいるもの。

こんなに毎日本に触れているのに、それでも読みつくせない。

きっと人との出会いのように、本との出会いにもタイミングがあるのだと

思うのです。そうして今読んだことのある作家になったのが、

レイモンド・カーヴァ―。

 

アメリカの有名な作家である彼を知ったのは、

高見恭子さんの『100コレクション』という美しい物たちの本。

その中にカーヴァ―の写真があったことを覚えています。

 

それから何年経ったのだろう…。

先日図書館の文庫コーナーをうろうろしていて、

ふと目に留まった『大聖堂』。

読んでみたら、それはもう衝撃で読むのをやめられませんでした。

 

何が衝撃か、というと

何気ない日常や人の苦しみが描かれながらも、

とりたてた映画のような事件が起こらないのに、

それが小説になっている、という点。

この何気ない日常の中に潜む何かおかしなこと、

おそろしいことが何でもないように小説になっているということ。

 

何度読んでも飽きないし、何度読んでも衝撃を受けるし、

こんな作品はなかなか出会えない…。

しばらくカーヴァ―をなめるように読むことになりそうです。

 

表紙の写真、好きだなあと思ったら稲越さんの作品でした。

これもまた一見の価値ありですね。