hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

これからの暮らし 稲垣えみ子『家事か地獄か』

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いつもうーんとうなる視点をくれる稲垣えみ子さんの本。

すっかり感化されて1週間を過ぎました。

 

稲垣さんにとって、家事は1時間以内に終わるもの。

洗濯機がないからたらいで一日分を洗い、

そうじはぞうきんとほうきとはたきで。

食事は冷蔵庫がないから、ずっと汁物とごはんと漬物など。

だから、考える時間も必要がないそうです。

お風呂は近くの銭湯だから、おふろ掃除もない。

読んでいるだけでなんだかすがすがしくて、

すごく気持ちが良くなりました。

道具は昭和なのに、かえって楽になるという現実…。

楽をするために買った家電が、実は家事を複雑化しているという

現実…。

 

この生活、「1人だからできるのでは?」と良く思われるそうです。

実際講演会をすると、家事を担う主に女性が

「家族がねえ…」と言うそうなんです。

そこに稲垣さんはするどい切り口を持ってきます。

家事は自分でやろう、と。

家族で暮らそうと、自分のことは自分でやる生活にしよう、と。

なぜ家事を担う人(主にお母さん?)だけが苦しむのかと

稲垣さんは問いかけながら、

家事ができないことでどれほどデメリットがあるか、

色々問いかけをしてくださっています。

 

そして話は老後まで。

自分の手で簡単な食事を作り、身の回りを整えられるのだったら

自分で生活を成り立たせることができるのではないか、ということ。

複雑な料理によって炊事の負担が大きく、

認知症もわずらっていたため料理ができなくなってしまった

稲垣さん自身のお母さんについて書かれているのを見ると、

もっと一汁一菜がまかりとおればいいなあと心から思います。

モノが多く、もっともっとの生活を繰り返したことで

家事が複雑すぎて亡くなる直前まで大変だったこと。

 

その経験を踏まえて、自分で生活を整え、シンプルにすることを

稲垣さんはかんがえていらっしゃるそうです。

 

もし今の生活で時間が足りず、苦しんでおられる方がいらしたら、

ぜひこの本をそっと手渡してみてください。

新たな視点が生まれ、楽な家事のポイントがみつかるかもしれません。

そして楽な家事を「家族がいるから…」とあきらめないこと。

ここが一番のポイントだと思います。