ヤマザキマリさんの子育ての本、前から気になっていました。
著者は『テルマエロマエ』の作者。
以前ご自身のお母様に関しての面白いエッセイを読んだことが
鮮明に記憶に残っていました。
この本は著者とお子さんが、
世界の様々な場所で何度も暮らしながらどうやって過ごしてきたか、
という記録のようなエッセイでした。
そこにはもちろん、日本の常識といわれるものの介入は
ほぼありません。だいたい、ほとんどを外国で過ごしていて
全く常識と言われるものが通じないのです。
いわゆる我が子を手塩にかけて育てる、というところが
全くないところが面白い。
一見ドライなように見えるけれど、1人の人間として
尊重し、同じ映画や本を楽しめる人になってほしいという母。
あとがきでお子さん自身が語っているように、
一切子どもの決断に「こうしなさい」ということがない母。
この二つの文の「母」を「人」と置き換えたら、
人間同士の気持ちの良い付き合いを感じます。
日本にいるとどうしても、
母の役割 父の役割 子どもの役割
などと互いに色々なことを知らずに押し付け合ってしまうことがあるけれど、
「家族は○○なもの」というものをとっぱらって、
子どもも大人も1人の人として大切にしあうことを優先したのなら、
子育てが今とは全く違う視点から見ることができるのではないか、
とこの本を読んで思いました。