hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

思春期を本で知る 伊藤比呂美『伊藤ふきげん製作所』

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さすが詩人!なタイトルです。

ふきげん製作所とは‥‥。

 

仕事で思春期真っただ中の子どもたちと触れ合っているので、

そのためとこれからの子育てのために読んでいます。

思春期って本当に嫌です…。

自分が過ごした日々を振り返ると穴があったら入りたいことを

たくさんした日々だった…。

そして今自分が思春期の子どもと向き合うと、

もうそれはそれは腹立たしい…。

勝手なものです。

 

だけど、親としても困難な時期だからこそ

振り返って客観的に人の子育てを知ると、

ちょっと笑えるようになる。

そんな役割を果たしてくれるのがこの本だと思います。

 

伊藤さんは思春期の子どもを連れてアメリカへ。

突然環境が変わり、言葉も違う中2人のお子さんが思春期に。

摂食障害やら、周りとのコミュニケーションやら、

とにかくすぐけんかになる日々の暮らし。

そして上の子が落ち着いたころに下の子が思春期に。

ああ、状況を考えるだけでどうやってサバイバルしたんだろうと

思ってしまいます。

 

決して教訓めいた本ではありません。

ただ2人の思春期を抱えながら、生活していた親の気持ちを

素直につづってくれている所が、この本のすごいところ。

最後に少しだけ、向き合うことが大切、と加えられています。

ただ向き合う母の姿。

もちろん、いらいらもする姿。

こういう、人のありのままを知ることが

いちばんきつい時に頼りになるような気がする。

 

というわけで、思春期真っただ中のお子さんをお持ちの方に、

または思春期予備軍にいるわたしのような親に、

お勧めしたい1冊です。