hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

全ては自分ごと エル・マク二コル『魔女だったかもしれないわたし』

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かわいらしい表紙の本。

読み終えると、様々な物語のモチーフが

表紙に描かれていることがわかります。

 

主人公は自閉を持つ少女、アディ。

刺激が強い場所や、新しい場所は苦手ですが

興味を持ったことにはとことん、追及できる賢い女の子です。

けれども学校では、そんなアディを「変わっている」といってばかにしたり、

先生もちょっと疎ましく思っています。

あるとき、授業で取り上げた魔女狩りの話を聞いたアディは、

ちょっと変わっているだけで魔女に仕立て上げられた過去の女性たちに

深く共感し、他人ごととは思えなくなり、

市内に慰霊碑を建てることを、市議会で提案します。

けれども町にとって、魔女狩りは隠したい負の歴史。

町の人や有力者はだれもその案に賛成してくれない中、

アディはあきらめずに周囲の人を説得し続けます。

 

その間学校で先生による言葉の暴力が行われたり、

クラスメイトからのいじめがあったり、アディの生活は決して

生きやすいものではないのです。

けれどもアディはあきらめません。

相手にきちんとわかってもらうまで説明をあきらめず、

最後は想いを相手に伝え、望みをかなえます。

 

アディのような特性を持っていたら、生活は人よりも苦しいと思うことが

多いはず。けれどもその特性があるからこそ、アディは

過去に苦しんだ魔女狩りの被害者に共感する力も持っている。

障害ではなく特性と捉えることで、見えてくるものが違うことに、

この読書を通じて気づきました。

 

子どもを育てていたり、子どもに関わる仕事をしている方に、

心からおすすめします。