まだ読んだことはないのだけれど、子どもたちがこぞってかりていく
廣嶋玲子さんの「銭天堂」シリーズ。
あまりの人気にわたしも作者の本を読んでみようと思って借りたのが
十年屋。
素直な感想は、「おもしろかった!ほんとうに」です。
十年屋は、魔法使い。
人がどこかに取っておきたいけれど、事情があって手元に置けない物を
あずかるのが仕事です。対価は持ち主の寿命1年分。
執事はオレンジ色の猫。お菓子を作るのが得意なこの子の話し方が
とてもかわいいのです。
それだけ聞くとなんだか現実離れしているようですが、
この作品のすばらしいところは、ものを預ける人達の気持ちの描き方が
すばらしいこと。
嫉妬、困っていること、隠したい事、泣きたいくらい悔しい気持ち。
そんなものを抱えている登場人物たちの現実があまりにもわかるから、
そこから魔法のある世界に発展していくのに何ら違和感がないのです。
1から読み始めてアッという間に3冊。
図書室にあったのには児童版、と書いてあったから、
他に大人版もあるのかな?
現実離れしすぎない魔法の描かれ方がとっても好きです。
そして絵!
挿絵が物語に合っていて、ページをめくるのが
楽しかった。
佐竹さんの絵とは「魔女の宅急便」シリーズで何度も目にしているけれど、
魔法の世界を描くとき、これほどぴったりな画家の方はいらっしゃらないのでは?
とっても気に入ったので、大人版十年屋も探してみようと思います。