hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

生きる主役は、自分 ビアンカ・ピッツォルノ『ミシンの見る夢』

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先週はどこかで1万円を落としてしまって、

落ち込んでいて更新ができませんでした。

幸い発見してくださって届けてくださった方がいらして、

ホッと一息。

 

気を取り直して今日の1冊。

冒頭のわたしのエピソードなど、取るに足らないことのように

思える物語を見つけました。

イタリアの作家によるこの物語は、カバーのイラストも印象的ですが

中身もまあ、すばらしいこと。

 

19世紀末から20世紀初めのイタリアを舞台にした、

お針子という仕事をする女性が主人公です。

かつては簡単な縫い物やシーツなどを仕立てる、お針子と呼ばれる

仕事があったそうで、主人公の家族はそれを生業として生きています。

 

お針子の身分で文字の読み書きができる人はまれな時代に、

学ぶ気持ちを大切にしながら生きている主人公。

その身分の差故に困難だった結婚など…。

今も差別はあるけれども、この時代差別は越えられない

壁のようなものだったのにもかかわらず、

主人公はただその違いに従うでもなく、あえて反論するでもなく、

自分のやりたいことを静かに実現していきます。

その姿に、心から勇気をもらいました。

舞台となっている時代のお針子の仕事、

この時代の洋服を仕立てる様子など、時代背景も楽しみました。

 

他の作品もぜひ読みたい!と思ったので、

また同じ作家の作品をご紹介できるかもしれません。

どこかでこの作品に出会うことができたらぜひ、

お手に取られてみてください。