hon-nomushi’s blog

人生の友になる本との出会い

事件解決だけではない面白さ へニング・マンケル『手/ヴァ―ランダ―の世界』

      f:id:hon-nomushi:20230110074433j:image

お正月、何もない自宅に持ち込んだ本に心が動かなくなってしまって、

とうとう読むのをやめてしまいました。物語の筋はある程度面白かったのに、

なぜか読み進められなくなってしまったのです。

これはわたしにはめったにないことで、自分でもびっくりしています。

もしかして本が読めなくなるのでは、なんてちょっと思っていたのですが、

そんなことはありませんでした。

ただ、その作品が今の気持ちに合わなかっただけみたい。

だってマンケルのこの作品を読み始めたら、

あっという間にこの本の世界に惹き込まれ、

いつもの本の虫が再開したからです。

 

しかもこの作品はシリーズだと知って、

しばらくマンケルに集中する1年の始まりを過ごすことになりそうです。

 

スウェーデンの作家であるマンケル。

主人公ヴァ―ランダーは冴えない刑事なのですが、

購入しようと思っている家の庭で手の骨を見つけてしまいます。

そこから手は誰のものなのか、探っていくという物語。

物語の筋ももちろん面白いのですが、

事件解決だけが面白いのではありません。

刑事ものと呼ばれる作品はあまたあれど、

わたしが深く心を惹かれる主人公のヴァ―ランダ―。

冴えない刑事であるヴァ―ランダ―に、

なぜこれほどまでに魅力を感じるのか、

上手く言葉にしてからブログを上げようと思ったのですが、

言葉になる前に先走ってこの記事を書いています。

シリーズをしばらく読み進めることになりそうなので、

読み終える頃うまく言葉にできたら、と思っています。

 

それにしても原作は知らないけれど、この本の翻訳は

本当に読みやすく、すっと心にしみわたります。

こんなお仕事をなさるなんて、とても優秀な訳者に違いないと

心から拍手を送っています。