なんて素敵なエッセイなんだろう。
文庫になったら絶対手に入れよう。
読み終えた時心からそう思いました。
編み物作家の三國さんの、初のエッセイだそうです。
ご主人と出会った頃の話、
学生を終えて東北の秋田で過ごしていたころの話、
そして今の編み物を編んでいるときの話。
どれも時系列に並んでいるわけではないそうなのだけれど、
エッセイのどれもに、
1人の人の日常の豊かさ、一目会っただけではわからない
1人の人の奥深さを感じました。
文章が心地よく、いつまででも読んでいたくなるような
エッセイばかりで、すっかり夢中になっていました。
個人的にとても好きなのは、
依頼をされた人形に着せるセーターを編むところでした。
ウイスキーを飲みながらこたつに入って、深夜に編みものを続ける作者の姿。
想像しただけでなんとも、豊かな世界を感じます。
今年出会ってよかった本に間違いなく入る本です。
せわしない年末に、ゆったりとした時間を組み込みたいときに
ぜひお勧めしたい本です。