なぜか横になってしまって…見にくくてごめんなさい。
この美しい表紙を、首を横にしてみてくださいね。
主役は帽子。
フランスの大統領フランソワ・ミッテランが
ある日レストランに帽子を忘れ、
ひょんなことからその帽子を手に入れた3人が、
ぱっとしない人生を変えていくという物語です。
1人は会社で役職につき、
1人は別れられなかった不倫の関係を清算し、本物の愛に出会い、
長くスランプだった香水調香師は、再び伝説の香水を生み出し、
もう一人は古典的な社会から飛び出し、現代アートの巨匠へと
のめり込んでいきます。
そしてミッテラン大統領も、再び帽子を手に入れた後、大統領へ。
そんな風に「もの」が人を押し上げてくれること、
もしかしたらそんなことがあったら、
ぜひその「もの」に出会いたいと思うものだけれど、
この主人公たちはものを失った後でも、
自分の人生の素敵なところがちゃんとあるのです。
もともと持っていた彼(女)の能力を帽子が引き出した、
という風に考えると、しっくりくる結末でした。
上手くいかないことがあるときにこの物語に出会って、
自分なりの宝物に読者が出会ったら…。
それが、この物語の本当の面白さではないかと思います。
さて、わたしの手放せない宝物はなんだろう。
わりとなんでも手放せるほうですが、
自分の大切な持ち物を見直してみたくなりました。
物が大好きな方にぜひお読みいただきたい小説です。