小学校の図書室で勤務をするようになり、子どもたちが今好きな本を知ると、
わたしが子どもの頃は手に取らなかったような本に出会うことがあります。
子どもたちから「この本、面白かったよ!」と言ってくれる時があり、
そういった本は必ず読むようにしています。
この1冊もちょうどそんな子どもからのお勧めで出会った一冊です。
皆さんは吃音(きつおん)という言葉をご存知でしょうか?
わたしは去年NHKのドキュランドの番組を見るまで、良く知りませんでした。
それまで子ども向けに吃音をテーマにした物語は見つける事ができずにいたのですが、
なんと図書室にすでに置かれていたようです。
主人公は吃音を抱え、
親しい人以外とはあまり話すことができません。
主人公の話し方は作者自身も吃音を抱えていらっしゃることもあり、
聞こえるままの表記になっています。
そこから新しい学校での出会いがあり、なんと一番苦手とする
話すことがメインの放送部に入部することになります。
様々な出来事を体験したあと、吃音ではない周囲の人もまた
自分のような悩みを抱えていることに気づいていきます。
すごくわかりやすいストーリー展開ですが、
主人公の成長が感じられるので、読んだ後はとてもさっぱり。
問題が簡単に解決するわけではないところをあえて描くところも、
吃音の作者ならではの展開だと思います。
物語を通じて、様々な人を知る。
これこそ本の醍醐味だし、本の役割でもあると思います。
この本を面白かったといった子は
この先実際吃音を抱えている方に出会った時に、
どんなコミュニケーションを取るのかな。
本で得た様々な人への理解、
それはその子の生きる力に繋がっていくと思います。